乃木坂、一つの到達点

乃木坂46の中西アルノが、TBS1で放送される『SpicySessions』という番組で副MCとして起用され、第一回目の収録を終えた。
その記事で、MCのゴスペラーズ黒沢薫さんの口から、今回の中西アルノの起用が、黒沢さん自身のご指名だという話をされていたことに、感慨を禁じ得ない。

AKB48の公式ライバルとして、「正統派アイドル」として売り出された乃木坂だったが、2~3年目には、AKBのライバルではなく、独自路線で勝負していかざるを得ない状況に陥った。
運営はメンバーに「乃木坂らしさとは何か」という呪いともいうべき問題を投げかけ、所属していた1,2期生は否が応でもその命題に取り組まざるを得なかった。
そこで、出てきた一つの答えが「本物になる」であった。

乃木坂の特徴であり、武器でもある、舞台での演技力、表現力を身に着け、卒業後は「元乃木坂」ではなく、女優として、色眼鏡なしで勝負していく1期生のマインドは、一部のファンの大反発(白石麻衣のアーティストを目指す発言を僭越だと攻撃していたヲタが結構いた)を受けながらも、卒業時の生駒里奈の「本物になるため」の卒業へと受け継がれ、さらに、2期生、3期生も、「本物の」タレント、ラジオDJ、女優、デザイナーなどなどへと活躍の場を広げている。

そして今回、中西アルノは、本物中の本物である黒沢氏やゲストと、サブMCだけではなく、コーラスへの参加やソロ歌唱という場面もある形で起用されている。しかも、出演者の指名で……。

卒業後に本物になれるアイドルグループから、アイドルグループにいながら、本物と認められる存在が出てきたというのは、大げさな言い方をすれば、ありえない奇跡である。

もちろん、まだ第一回の収録が終わっただけであり、これが最終地点などではない。
しかし、これは確かに「大きな一歩」になると信じたい。

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