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母の作るハンバーグは世界一

わたしの母が作るハンバーグが世界で一番おいしい。


去年からわたしも料理ができるようになりたいと思い、週に1回ほどキッチンに立つようにしていた。
そして、母のお手伝いがてら料理を作っていた。
やはり、将来のことを考えれば料理ができて損はないと思ったから。

ある日、わたしも母が作るおいしいハンバーグを作りたいと思い、教えてもらうことにした。
こうやってハンバーグって作るんだ~と思いながら母と一緒に作っていた。
ソースもハンバーグを焼いた後に残る油にケチャップとソースを混ぜ合わせたシンプルなものであるが、完成したのは母の作るおいしいハンバーグだった。


それから、わたしは新卒で入社した会社を6ヶ月で辞めた。
しばらくは、ほとんどベットで過ごす日々を送っていたが、このままでは生きている意味が無いと思い、毎日夜ごはんを作ることにした。

そんなニート生活を送っている時、母の誕生日がもうすぐだと気づいた。
去年の母の誕生日に渡した手紙に書いた一文をふと思い出した。

「来年はお母さんの誕生日にわたしがごちそうを作るね」と。

たしか、こう書いたはずだ。

今年の母の誕生日に教えてもらった、母特製のハンバーグをわたしひとりで作ってみることにした。

早めに準備を始めたが、やはり手こずって時間がかかってしまった。
しかし、教えてもらったとおり作ることができた。
今回は、以前教えてもらったポテトサラダを添えて。

会社を辞めてしまったわたしの味方でいてくれて、わたしを優しく包んでくれた母に感謝の気持ちをたっぷりこめてハンバーグとポテトサラダを作った。
こうやって、誰かのために特別な思いを抱きながら作る料理ってやっぱり特別な気がする。

ドキドキしながら、盛り付けをし、母に完成したと告げ、一緒に食べた。

「お誕生日おめでとう」と伝えて。

母はおいしいと言ってわたしの作ったハンバーグとポテトサラダを完食してくれた。

『おいしいはたのしい、そして、おいしいといわれるのはしあわせ』

わたしはそのときそう思った。

わたしが母の料理でおいしいと思っているものを作り、母は喜んでくれた。
料理をしていた時間も、料理を一緒に食べている時間もとても素敵な時間だった。
会社を辞めていなかったら、こんな素敵な時間を過ごすことはできなかったかもしれない。
母のためにハンバーグを作ることもなかったかもしれない。
どんな出来事にも意味があるのかななんて思ったりして。


わたしも将来、このハンバーグを作り、子どもから「おいしい」と言ってもらいたい。
この妄想が現実になったらいいな~と思いながら、これからも料理の勉強をがんばりたいと改めて思った。


写真は、母のためにつくったハンバーグです。
我ながらおいしくできました。
しかし、母の料理の手際の良さと盛り付けのこだわりにはかなわないです。

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