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遊ぶみたいに生きたって

ここのところ、23時には眠くなってしまうので困っている。

21時に帰宅し、お風呂に入って食事をしながら母とお喋りをしていると、もう23時になってしまう。(母が眠るのを見届けて、さあ、とパソコンの前に座るなり、目がしょぼしょぼとしはじめるのです。)

少しだけ贅沢をしたくて買った、ロクシタンのネイルオイルを爪先にもみこんで、困ったなあ、と独りごちる。

肌寒い秋の夜、たっぷりの毛糸で編まれたふかふかのカーディガンにくるまって、あたたかい寝床を仕上げて、努力を放棄する甘い背徳感を覚えながら、えーい今日は寝てしまえ、と自分の背中を押すこと数日。

(いちど怠惰を許すと、それが永遠に続くような気がして、怖くなるんですよね。)

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右側の前髪のあたりから、白髪が生えてくるようになった

抜くとダメよ、という先人の教えに素直に従い、根元からハサミを入れる。
ところが、鏡の遠近感に戸惑って、 幾本かの黒髪を犠牲にしてしまった。本命の白髪をようやく切れた時、洗面台に落ちていた黒髪は八本もあった。

(いっそのこときれいなグレイヘアになれたらいいのに。)

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数日前、職場で、監査の対象に選ばれた。
はるばる東京から来た社外の審査官が、私が担当した仕事の書類と成果物を隅から隅までチェックして行った。私はそれを、テーブルを挟んで、吐きそうになりながら眺めていた。こういう場合「優しそう」な第一印象はたいていフェイクだから。

けれども、審査官のおじさんは最後に言ってくれた。
「完璧です。いい仕事を見せていただきました」

お世辞でも嬉しかったな。

これから「いい仕事」をもっとたくさんしよう、と思った。単純なのは、私の長所である。

(どんなに孤独感に苛まれても、見てくれている人はちゃんといるものです。)

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胸につかえてとれないような嫌なことは、たくさんある。が、一滴の甘い蜜のように、いいことがひとつでもあれば人は生きていけると信じている。

明日、いい匂いのする石鹸を買ってこよう。遠く中東の町で煮込まれたエメラルドグリーンの石鹸を。
今夜は、お茶を一杯だけ飲んで、あたたかい寝床で眠ろう。

生きてるだけでえらいし、事故にもあわず一日生き切ったことは最高にスペシャルなことだし、あんまり深く考えすぎないで。肩の力を抜いて、遊ぶみたいに生きていこう。そんなんでいいんだよ。

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