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【スターウォーズの「ことばあそび」】

こんにちは。
コロナウイルスで大学の春休みが1ヶ月延長になった美川です。

今回は、スターウォーズの「名詞」をテーマに言語学をやってみたいと思います。

意外な事実ですが、スターウォーズのキャラ名や名詞は、「日本語由来」のものが多くあります。例えば「時代」が「ジェダイ」になったりなど。

ダース・ベイダーの元ネタが侍の甲冑だというのも、一部のスターウォーズファンの間では有名なトリビアです。

さて、今回私が注目したいのが、そんなスターウォーズの「名詞」を作る法則が見いだせるかどうかについて。

日本語→スターウォーズの名詞 に変換されるとき、どのような規則性が見られるのか、ざっと分析してみたいと思います。

【日本語が元ネタのスターウォーズの「名詞」】

ざっと調べてみたなかでは、以下のものがあります。
本記事の分析は、以下に挙げるものを中心に取り扱っていきます。


(本来ならもっとデータをとるべきなのでしょうが、ここはNote。
エンターテイメント性のほうが大切だと思われます。
そのため、軽い分析になってしまいますが、おにいさん許して!)

・ジェダイ
・ブーシ
・アンドー
・カンジカラブ

参考画像(上の順番通りに提示)

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いかがでしょうか。元ネタがハッキリするものもあれば、最後の「カンジカラブ」なんかはよくわからない。でも、響き的には日本語らしさがある。

この「日本語的な響き」は一体どこから来るのか?という問いの答えを見つけるのが、この分析の目的です。

次に、元ネタと思わしき日本語を挙げていきます。

・ジェダイ→時代
・ブーシ→武士
・アンドー→安藤
・カンジカラブ→漢字クラブ(?) 寛治からぶ(?)

最後のカンジカラブの元ネタだけはハッキリしません。
「カンジ」が漢字なのか、人名の寛治なのか。

原作では、アウトローのハン・ソロを追いかけるギャング集団として登場するものです。その構成員はアジア系の人種もいたりします。なので、このカンジカラブという名詞の響きから考えるに、アジア圏のなんらかをモデルにしていることは間違いないでしょう。

さて、ここから分析に入ります。

「スターウォーズの名詞」の隣に、「元ネタと思われる日本語」のローマ字
表記を載せていきます。

1. Jedi / Zidai もしくは Jidai 
2. Bushh / Bushi
3. Andor / Ando もしくは (レア) Andou
4. Kanjiklub / Kanji kurabu もしくは Kanjikurabu

ローマ字とスターウォーズ語、
2つを発音の面から比べていきたいと思います。

まず、1, 2をみていきましょう。
Zidaiは 子音+母音+子音+母音 と、子音と母音がきれいに並んでいます。そのため「じ」「だ」「い」のような、母音がハッキリとした音になります。
1. のJediのほうでも、形だけ見れば子音+母音+子音+母音という
綺麗な形になっています。しかし、発音してみると日本語的な「ハッキリとした母音」にはなりません。
Jediの読み方は「ジェダイ」であり、日本語的な読み方「じぇでぃ」にはなりません。これはなぜか。

日本語→スターウォーズ語 への変換において、以下の現象が起こっていると想定します。

母音が長くなる現象

そのなのとおり、母音が長くなる現象です。専門用語では「二重母音化」ともいいます。

Zidaiの母音 i, a, i は全て短く発音します。「じーだい」「じだーい」と発音のする人はいないでしょう。「じだい」です。

これがスターウォーズ化するとどうなるか。

Jedi、この語の発音を書いてみると「ジェダイ」となります。
Jediの母音e, i は、両者ともに同じ長さにはなりません。
eは短く発音し、iのほうは長く発音します。「ジェディ」ではなく、diの部分だけながーく発音する「ジェダイ」になります。劇中のキャラも実際にこうした発音をしている。

2. Bushi→Bushh でも、同じ現象が起こります。

Bushiの母音 u, i は両方とも同じ短さ。ぶし の「ぶ」と「し」を発音する長さは一定です。
一方、スターウォーズ語であるBushhの母音 u は長く発音されます。
これは、shh「シュー」という子音3連続の並びが影響したものです。
子音で終わる単語は、その前の母音が長くなるという現象が
英語では起こります。そのため、Bushhの発音は「ブーシ」のように、「u」が長く発音される傾向にあります。

以上より、
スターウォーズ語と元ネタの日本語を付き合わせてみていえることの1つとして、
「母音の長短が英語らしさ/日本語らしさを区別させる」
という主張ができます。
Smartphone 「スマートフォーン」が「スマートホン」となり、
やがて日本語の「スマホ」となるといった現象。
これも、「母音の長短」で説明できそうです。

次に3, 4の分析に移ります。

3. Ando → Andor
4. Kanjikurabu → Kanjiklub

矢印の先がスターウォーズ語です。
さて、矢印の前と後ろの単語。両者の「語末」に注目してみてください。
何か気がつくことはありませんか?

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スターウォーズ語のほうは、
両者とも「r」「b」と、「子音」で終わっています。
一方で日本語のほうは、「o」「u」と、「母音」で終わっていることが
わかります。

日本語は子音+母音のユニットを重視する傾向にあります。
それゆえ、さっきいったように「音がハッキリ」してくる。

Andoは 「安藤」、「あ」「ん」「ど」「う」と全部ハッキリ言うでしょう。
そう、森の安藤のようにね。

一方、Andor の最後の「r」がつくとどうか。
「r」は、ベロを口の上にあるくぼみにつける「l」と対比される音で、「舌がどこにもつかない」かつ「舌を丸める」という特徴を持つ音です。
それゆえ、「ォー」「ァー」など、はっきりしない、どこか曇ってるような発音になります。それゆえ、「Andor」の「dor」の部分にある母音「o」も、ハッキリ「オ」とは発音せず、「ォァ」のような発音になります。
それゆえ、「安藤」とは違った「アンドゥァ」という発音になります。

Bushhでも考えてみましょう。「Bushi」は武士。「ぶ」「し」をそれぞれハッキリ、同じ長さで発音します。

一方、「Bushh」は「shh」で子音が3つ連続して終わります。そのため、「shi」にあった「い」「i」の発音が消滅しています。
「shh」は蒸気音のような「シューーー・・・」という音になります。それゆえ、どこかメリハリのない、空気が抜けるような音でフェーズアウトしていくような発音になります。ここでも、「日本語では母音でハッキリ発音していたものが、子音で終わることによりハッキリしなくなる」という現象が起こっています。

Kanjiklubでも同様。日本語では「bu」となっていたものが、スターウォーズ語では「b」で終わり、「u」の母音が消える。それにより、「ブ」と「ウ」の中間のような、ハッキリしない音で終わる。

以上の3. 4 の分析から言えることは、次の通り。

母音でハッキリ発音するか否か/子音で音が曖昧になるか否か が、日本語らしさと英語らしさを分ける要因となる。

アンドウがアンドァみたいな発音になったり、ブシがブーシュー・・・になったり、カンジクラブがカンジクランブみたいになったりする。
それによって、語感が日本語らしいか否かを分けている。

【まとめ】

スターウォーズの名詞と元ネタの日本語を比較してみてわかったことは、以下の2つ。

1. 母音の長さが、日本語らしさ/英語らしさ 
を識別する要素となる。
2.ハッキリ発音するか否か(母音で終わるor子音で終わるか否か)
が、日本語らしさ/英語らしさ
を識別する要素となる。

【追記】

意外と本格的になってしまった。
スターウォーズの単語ひとつふたつをとってきただけですが、結果言語について深く考えさせることになりました。書いてて楽しかった!!!

みんな、最高(だけど伏線回収やらで展開が早く忙しい)なスターウォーズサーガの完結編、「スターウォーズエピソード9 スカイウォーカーの夜明け」を観てみよう!!!父と子とは、血筋とは、友情とはなにかを美しい映像とド派手な戦いを通して知ることができるよ!!!

美川

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