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「ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者」の完成度が高すぎる

こんにちは、なるぼぼです。

知人がおススメしていたのと、WiiUのVC購入期限があったこともあり、「ファミコン探偵倶楽部」シリーズに触れてみることに。
先日の「パラノマサイト」が面白かったこともあるのと、ファミコンの「シャドウゲイト」や「オホーツクに消ゆ」などの推理アドベンチャーに興味があったこと、そしてWiiUで比較的触れやすいことなどを加味して、このゲームを遊んでみました。

いや、とんでもなく面白い。
余りの完成度の高さに夢中になって遊んでいました。
そんなゲームの良い所を話していこうと思います。

今更というレベルで昔の作品ですが、念のためネタバレ注意です。

1.理不尽だが理解ある推理

最初は本作の謎について。
基本的にはシンプルなアドベンチャーゲームですが、高い作り込みを感じさせる部分もあります。

本作のゲーム展開は、基本的に選択して話を聞きながら、時には物に触れて行って状況を確認しながら、事件の謎を追っていくというものです。
その辺りはシンプルにできていて、コマンドの多さもファミコンらしさを感じさせます。

個人的に上手いと思ったのがコマンド前、会話中に割って入ってくる音の演出。
突然鳴る電話とかはゲーム中で「何かが起こる!」と言った前触れになっていたりもするので、割り込み演出が入るのは面白く、躍動感を感じる瞬間でした。
それ以外にも、遠くに行った病院の先生には何度か呼びかけないと反応してくれないとか、ちょっとコミカルなシーンにもコマンドの妙が隠されていて、シンプルながらも味のある選択性になっていたと思います。

ただ、難易度はファミコンらしくかなり難しかったです。
一部の謎はもはやドット絵では判別できないぐらい小さなところにアイテムが落ちていたりと、強烈な難易度を誇ります。
リメイク版で改善されていればよいのですが、FC版は正直攻略ありきじゃないとわからないレベルの謎がいくつかあったので、そこはいただけないな…と思います。
ボリュームとしては攻略あれば前後編合わせて1日でクリアできるぐらいなので、迷わせるために強烈な謎を準備していたんでしょうね…。
ノーヒント、気づかせる気のないレベルの配置が割とゴロゴロあるので、その辺は気にした方がいいと思います。

2.二転三転する、昼ドラ風味のストーリー

さて、お次はストーリーの展開。

ストーリーの外観はわかりやすいほどに昼ドラです。
遺産問題、呪いの謎、続々と死ぬ親戚一同と、遺産を巡った田舎町で繰り広げられる殺人劇は、まさに昼ドラそのものでしょう。
本当にわかりやすく昼ドラのような構図になっているものの、探偵ものとしてこれ以上ない舞台設定なので、入りやすく面白いです。

そして、大屋敷で調査を進めて行くたびに発生する「現場で次々と起こる殺人」は、かまいたちが通ったかのようなスピード感に溢れていて、緊迫感を感じさせます。
この緊迫感が見えない犯人像と相まって恐怖心を増すことになるのも、かなり良いです。
村人が「最初の被害者の亡霊が現れて殺しまわっているんだ」と言い張っているところも、オカルト感を感じさせる田舎独特の空気感が伝わってきます。
世界観を崩すものが本当に少なく、かなりまとまっているので、推理ゲームとして入り込みやすいのが魅力ですね。

3.重なり合う真実

さて、ここが一番話したかったところです。
本作の面白い所は、「主人公が記憶を失っているところ」です。

本作は「記憶を失った主人公が、探偵であったとともに追っていた事件を再度追い始める」というところからスタートします。
多少きな臭い部分はあるものの、ストーリーの中でプレイヤーは自身が探偵であること、そして追っていた事件があることを認知しながら、ストーリーを進めて行きます。
その中で、主人公が記憶を失っているからこそ、名前を付けるシーンはかなり自然に映りましたし、最初の前提となる話を主人公のキャラと一緒に追っていける部分に、一体感を感じることができました。
導入としてもわかりやすく、面白いものでした。

しかし、このゲームの真価は「自分の記憶を取り戻すこと」と「事件と関連する綾城家の謎」が、徐々にリンクしていくところにあります。
主人公は自身の記憶を呼び戻していく中で、どこか記憶のある人物に出会ったり、記憶を失う前の自分が言い残した「お守り」というワードを追っていったりと、少しずつ記憶を手繰り寄せていきます。
そして、そうした記憶の手繰り寄せをしていくうちに、「自身が綾城家の関係者であったこと」が明らかになります。
そして、事件の一連の重要人物が、事件を追っていた自分自身であることが明らかになるのです。

このどんでん返しが凄すぎて、本当に驚きました。
今まで探偵で、当事者とは無関係の位置から事件を追えるからこそ中立な視点を持つことができたのに、ここにきて「自分は当事者にかなり近い人物だった!」というのが明らかになる。
しかも、それが記憶喪失した部分を飛び越えて、自信の出生の謎にまで繋がっていく。
こんなトンデモ展開があって良いのか。
ただでさえ自身の記憶と事件の謎がリンクしたところで凄いと思っていたのに、そこから出生の謎まで超えてすべてが結びついていくという感覚に、僕は深い驚きと感動を覚えました。
そして、最初に記憶を失っていたからこそ出てくる「名前を入れる一幕」が、すでに仕掛けとして機能していたという所も凄いです。

本当にここが面白すぎる。
全てが結びついていく面白さ、そして悲しい物語、それを聞いた主人公の思い。
壮絶な出生の謎が明かされるシーンは、主人公と自分の思いが絶妙にリンクしていって、とても感動しました。
名前を付けた自分自身だからこそ、出生の謎が明らかになったときの真実の驚きと、そうなってしまったときのキクの思い、そして自分自身がここから全ての謎を解き明かすしかない、という強い決意。
これらが主人公自信と繋がっていくことにより、ゲームをプレイする手により一層熱が入るのが、本作最大の強みだと思います。

4.終わりに

いかがでしたでしょうか。

いや、本当にすごいゲームだった。
僕自身が推理モノのゲームをあまりやってなかったからこその驚きもあったかもしれませんが、ファミコンでこのクオリティのストーリーが組み立てられるのなら、今の推理モノも傑作になるよな、となんとなく思っていました。
ファミコンリスペクトの「伊勢志摩ミステリー案内」とかも、ちょっと興味が出てきました。

続編の「後ろに立つ少女」もスーファミ版をクリアしましたが、そっちはまた機会があれば書きたいなと思います。
僕は結構好みでした。
演出が良かったですね。

さて、次回は今のところ未定です。
また何かあれば書きますね。
それでは~。


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