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「龍が如く0」の真島を語る

こんにちは。なるぼぼです。

最近龍が如く0をクリアしました。
龍が如く1しかやっていなかったのですが、見事にキャラクターに感情移入できるような、完璧なストーリー構成であったと思います。
作品自体のレビューはSteamで行っていますので、そちらをご覧ください。

さて、Noteの方では、ネタバレ全開で本作の思いを書いていこうと思います。
とりわけ、本作の真島のストーリーは秀逸なものであったと思うので、そちらにフォーカスを当てていこうと思います。
それではいきましょう。

1.真島の実直さ

真島編で一番重要であるかもしれないと言えるのが、過去の真島がいたって実直な人間であったということ。
最初の登場シーンから龍1を遊んだプレイヤーの度肝を抜くわけですが、これ以降のキチガイ真島が生まれるキッカケがあると考えれば、まぁ自然なものかもしれません。
最初の戦闘シーンはかっこよかったですね。
まさにキャバレーグランドの支配人に相応しい行動力だと思います。

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彼がこうなったのも過去にひと悶着合ったから、ということではありますが、彼の実直な性格がどうして龍1の真島まで狂ってしまったのか、この段階では全く分かりませんでした。
というか、マコトと出会い、色々な人と出会っていくストーリーラインの中でもやっぱりよくわかりませんでした。
最後になってようやく理解できたかな…ぐらいの感覚。

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それぐらい本来の真島は真面目で目標のためならなんでもするような覚悟を持った男であった、と言えます。
ただ、テレクラで自然なレベルで芸能人ボケをかましたり、サンシャインのユキちゃんとの会話では気さくなおじさんオーナーになったりと、真面目な殺し屋とは別の、大阪に馴染んだ真島の姿も垣間見えます。
関西弁も相まって、コミカルなところでしっかりとコミカルに映るのが印象的ですね。

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2.奴らとの出会い

どうして真島はあそこまで変貌してしまったのか。
そこには真島の悲恋に対する苦悩と、2人の理想像の姿がありました。
先に理想像の二人の話から。

狂犬となった真島が最も影響を受けた存在が、近江連合の佐川です。
彼は真島の親に当たる嶋野と兄弟の仲にありました。
処分を受け蒼天堀に捕らえられた真島の監視役です。
マコトの殺害を依頼し、成功すれば本気で極道の世界に真島を引き戻して上げようとしていた人でもあります。

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真島は佐川から、その飄々とした性格を受け継いでいると思います。
佐川は極道のわりに極道らしからぬほどラフな口調で会話します。
桐生編の若頭三人衆の久瀬、阿波野、渋澤と比べるとものすごく接しやすいような雰囲気であることが伺えます。

しかし、その裏には極道らしいほどの外道な行動論理があり、ヤクザらしい暴力行為を行うこともあります。
普段の飄々とした性格を考えると、いつ暴力的になる琴線に触れてしまうのかわからないオーラが、佐川には出ています。
大阪のヤクザ、というイメージを見事に表現しているのが佐川ですが、何をしでかすかわからないラフさと暴力性は、狂犬となった真島にも受け継がれていると言えるでしょう。

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ラストシーンはまさに佐川からの学びを真島が発言する展開になりました。
彼の執着心、諦めない心が、狂った真島を生み出したと言えます。
「アンタとは死ぬまで会わんでいたい」と真島に言い放つほど、佐川の存在はある意味極道らしかったといえます。

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そして影響を受けたもう一人の人物は、近江連合の西谷です。
西谷は近江連合でも異端児でありながら、その暴力性から一目置かれる存在になっていました。
マコトの殺害を狙っており、そこで出会った真島に強い興味を示します。
また、獄中の中を拠点としており、収監後も真島と接することになります。

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真島は彼から、ライバルに対する異常なまでの執着心と強さを求めることを学んだと思います。
西谷は佐川の静かな狂気とは違い、暴力に特化したわかりやすい狂気を持った男です。
彼は根っからの悪人であるうえ、暴力による闘争を好んでいるだけの存在です。
強い奴を相手にした際に興奮することも、彼の暴力に対する異常な執着が垣間見えます。

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そんな彼の生きざまに、真島は共感の意思を見せます。
馬の合う人と出会った真島にとって、西谷は重要な存在であったと言えます。
また、彼が目の前で死んだこと、そして言い残した「思いっきり暴れてやれ」「自分の道を前に勧め」という言葉は、真島の考え方に大きく影響したことでしょう。

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真島は彼らの影響を受け、後々の人格を形作ることになっていきます。
ただし、もっと根本的な理由は、ストーリーの根幹にもある「悲恋」に存在していると思います。
次で話していきましょう。

3.悲恋と苦悩の中で

真島が狂犬となる直接的なキッカケは、マコトへの悲恋にあります。

殺害対象であるマコトを救い出し、オデッセイでかくまっていた真島。
二転三転と話が進む中、桐生がマコトを神室町に連れて行ったということで、真島も佐川と神室町に向かいます。
そして彼はマコトを見つけ出すものの、兄を失ったマコトは完全に我を忘れており、土地をもとに兄の仇に復讐することだけを考えていました。
真島は説得しようとしますが、たこ焼きを買おうとした際に逃げられ、保護に失敗します。

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もともと真島がマコトを匿おうとしていたのは、ヤクザによって失明したマコトがもう二度と闇社会と関わらないようにするためです。
しかし、彼女は結局闇社会の影響から逃げられず、単身堂島組に突撃し撃たれてしまいます。
なんとか一命はとりとめるものの、彼女は生きるか死ぬかのはざまに立たされ、集中治療室に入ることになります。
マコトは結果的に世良による保護を受けることになりますが、真島はそこまでマコトを追い詰めた堂島組にマコトの代わりに復讐をすることを誓います。

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真島の狂気の表れとして印象的なのが、神室町のチーマーとの流れです。
嶋野の親父にマコトを保護しろと言われた真島は、自分がしている行動が結局は嶋野のピエロとして操られている存在であることを自覚します。
そして意気消沈している中、ぶつかってキレたチーマーに殴られることになります。
真島は戦意喪失状態であり、抵抗することなく殴られていました。

その後、真島は復讐を誓う中チーマーと出会います。
彼らは意気消沈した際の真島しか知らないために、舐めた態度をとります。
しかし、真島は自分の意思のみで行動する人間、「狂犬」になっていました。
そして謝罪しても殴り続けるような暴力性を見せつけ、偶然居合わせた佐川に「お前は狂犬の目をしてるよ」と言われるほどになります。

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どうしてここまで真島が変化したのか。
これは、「自分がマコトの嫌う極道イメージになることで、マコト自身をヤクザの闇に引き寄せないようにする」という理由があると思います。
もちろんピエロから脱出するため、自分の意思でのみ生きるためという理由もあるとは思いますが、それでは龍が如く1の時の真島のような狂気性は見えないでしょう。
彼がそこまで狂気に走ったのは、マコトにヤクザに関わらないでほしいと思ったうえで、一番やさしく接していた自分もその立場だからヤクザとしての立ち振る舞いをしなければならない、マコトが二度と自分に近寄らないような存在にならなければならない、そう感じていたのかもしれません。
だからこそ、控えめさを消し、実直な性格も奥に隠して、狂気の真島として生きるようになったと思います。

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最後のマコトと主治医との出会いのシーンでは、主治医にマコトを託して去っていく真島が見えます。
彼の哀愁漂う背中は、別れを明確に意味するだけでなく、自分が極道の世界から帰ることはない、もう二度と関わることはない、というような真島の思いが伝わってきます。
マコトは視力が復活する前でしか交流がなかったため、真島の顔を見ることができず、名前も知らなかったために、狂気になった真島を認識することができませんでした。
この別れは何とも切ないものであるとともに、真島が吹っ切れた象徴のようなシーンであると思います。

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真島とマコトの別れによって、真島は極道の闇の道へと進み、自ら率先して悪の存在になることを選択しました。
そしてそれは彼の本意でもある「誰の言うことも聞かん」という意思の表れであり、理想の姿だったのだと思います。
そうなると狂気の真島にも正統性が出てきますね。
やってることは凄いですが…。

4.終わりに

いかがでしたでしょうか。

僕は龍0で真島という人物のフォーカスがあったことに感動しましたが、何よりもその狂気がいかにして生まれたかという部分が非常にドラマチックで、とても楽しくプレイしていました。
すごく感動的でありながら真島に感情移入しやすくなっているので、龍1以降の真島の意識にも大きな変化が生まれると思います。
Steam版は龍が如くパックが安価で展開されているので、気になった方は買ってみてはいかがでしょうか。

それでは今回はこの辺で。
また次回。


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