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【考察】デビルサマナー葛葉ライドウvs超力兵団 アカラナ回廊の謎

こんにちは、なるぼぼです。

先日、「デビルサマナー 葛葉ライドウvs超力兵団」をクリアしました。
正直結構苦行でした。
システムは今やるとマジできついです。
正直記事書くつもりはありませんでした。
ラスダンに入るまでは。

クリア後に、本作はどちらかというと真1や真2を再解釈するうえで非常に重要な作品であると判断しました。
ということで、今回はラストダンジョン「アカラナ回廊」を自分なりの解釈で紐解きながら、真1や真2の再解釈、黒幕が何をしたかったのか、大正20年の謎に踏み込んでいきたいと思います。
よろしくお願いします。

当然のようにデビルサマナー葛葉ライドウvs超力兵団のネタバレをします。
加えて、「真・女神転生」及び「真・女神転生Ⅱ」のネタバレもします。
重ねてご了承ください。

1.アカラナ回廊とは

さて、まずアカラナ回廊の説明から入っていきましょう。

アカラナ回廊は本作のラストダンジョンです。
時空の狭間に逃げた大道寺伽耶(精神は40代目葛葉ライドウ)を追って、ライドウは大正20年の異界からやってきます。
アカラナ回廊は多くの時間旅行者と時の迷い人、そして悪魔のいる不思議な空間でした。
1930年、「閣下、総帥干犯の賊類を…」という文言から始まって、上に上るごとに年代が進んでいきます。
サン・ジェルマンや闇将軍の話、敗戦時の電報やオイルショック化でのトイレットペーパー買い占めなど、日本の歴史に関わるような文言が数多く見られます。

重要なのは1990年代。
とある人物のセリフ。

「大使がICBMのボタンを押したんだ!
あと30秒もしないうちに東京は…!」

このことから、トールマンによる東京大破壊が発生したことが分かります。
そう、この時空は真・女神転生のICBM落下が起こっているのです。
そしてもう一人のセリフ。

バカな 大正時代は15年間だよ。
教科書にも載っているだろう…

このセリフから、ライドウのいる大正20年は異常な世界線であることが分かります。
そして、ライドウと対立したラスプーチンという人造人間が送り込まれた理由は、この大正時代の歪みそのものを消すためでした。
そして時代は進み2050年。
そこにいる二人の時の迷い児により、真2にあったファクトリーが現存していること、そして40代目ライドウがセンター直属のテンプルナイトであったことが明らかになります。

ここまででなんとなくわかるのは、今のライドウのいる場所が真1や真2と繋がりを持っていること、そしてライドウ世界の歴史は歪みを持ってしまったことあたりでしょうか。
つぎからは、時の迷い児や時間旅行者のセリフをもとにして、真1や真2などの世界線の考察をしてみようと思います。

2.真1とロウフルな世界

さて、本作を真1に絡めて解釈するうえでわかる事実は「アカラナ回廊上ではニュートラルエンドが選択された」ということ、そして「その上で東京ミレニアムが成立し、ロウフルな社会が形作られた」ということです。
詳しく見ていきましょう。

これは2020年にいる時の迷い児のセリフから一発でわかります。
セリフはこれ。

腕に変な機械付けた吉祥寺の高校生が
神と悪魔をやっつけてくれたおかげだ。

ここでやっつけられているのが「神と悪魔」ということから、ニュートラルエンドで真1は終了していることが分かります。
彼はカテドラルにいるセラフ天使と魔王軍、両方を制圧し太上老君とともにエンディングを迎えたことが推察できます。

じゃあなぜロウフルな社会が作られたのか。
ニュートラルエンドによる無為自然、あるがままのもとに宇宙と自己の存在を同一視するようなエンディングを迎えたにもかかわらず、なぜロウの思想に傾倒していったのか。
これは2020年時の迷い児の前のセリフにヒントがあると思います。

共同体社会成立万歳 だよな。
メシア出身の嫁さん貰えたしよ。

共同体社会成立万歳、これはニュートラルに見られるような平等性を意識した社会構造でしょう。ここまでは自然です。
問題はその後のセリフ。
「メシア出身の嫁さん貰えた」これが問題です。
彼は、無意識的にメシア教徒=善いものとして捉えているんです。
「そりゃガイアの嫁さんなんてサバサバしていかんだろ」と言われたらそれは滅相もないという話ですが、それでもメシアの嫁さんが貰えたということは少なからずメシア教=善いものと解釈しているわけです。
これらが時間をかけて拡大して行ったら?
そう、東京ミレニアムになってしまうんです。

僕は昔どこかの記事で「真1はどのエンディングを踏んだとしても真2の世界に繋がる」という話を見たことがあります。
そんなわけないじゃないか、と真1クリア時の僕は思っていました。
しかしなるほど、メシア教を潜在的に善いものと判断してしまっているのならば、結果的に東京ミレニアムと管理体制社会が形作られてしまうわけです。
つまり人間は、無意識的にロウの思想を選択してしまうということなんです。
分かりやすい話、神頼みをしてしまうということです。
それがいつの間にか信仰にすり替わっていって、結果として東京ミレニアムが作られたのでしょう。
真2では腐敗したミレニアムと三天使の姿がありますが、まさにそのような結果を生み出した基盤は無意識的な信仰にあったのかもしれません。
こうした信仰意識に天使が介入しないわけがない。
なぜ真2でセラフ4天使が復活しているのかだけは謎ですが、上手いこと人を引き込んで管理体制漬けにするなんて、この状況なら余裕でしょうね。

太上老君は、法や規律に縛られ過ぎることでは「人は羽ばたけない」とロウの思想を切り捨て、「何より調和が大切だ」と説きました。
しかし、人は法や規律を求めた。
弱者が真に守られるのは自由ではなく、法や規律による権利の保障にあると考えるのであれば、ロウフルな世界ができるのも自然なことかもしれません。
もちろん彼の説く調和は必要ではありますが、そんなものが悪魔はびこる世界で続くのか。
そして彼の求める調和はどの世界で成しえるのか。
恐らくその答えは別の作品にあるのでしょう。

3.大正20年の謎

さて、ここまでで真1や真2との繋がりを考えてきました。
では、次は「なぜ大正20年が生まれているのか」と言うことを考えてみましょう。

まず、大正20年というのは現実世界には存在しません。
そして、大正は15年までだろ、と述べる時間旅行者がいるように、アカラナ回廊における認識とライドウたちとの認識の間にはズレがあります。
ではなぜこのズレが起きるのか。
それは、訪れたアカラナ回廊がライドウたちの存在する世界線のアカラナ回廊ではないということです。
つまるところ、デビルサマナーの世界線と真・女神転生の世界線で歴史が二本あるということです。

アカラナ回廊の世界線では真・女神転生の歴史が語られます。
おそらくデビルサマナーと女神転生の世界線を横断したのは40代目ではなく、プレイヤーであるライドウの方なのでしょう。
40代目はテンプルナイトであることから少なくとも真2までストーリーは進行しているので、ライドウの世界に介入した後逃げられるのは女神転生の世界線だったと考えられます。
一方でライドウは秘術を使い世界線を横断することができるため、女神転生の時空にも入ることができたと考えられます。
そして女神転生の時空に入り込んだライドウはアカラナ回廊を上り詰め、追い込まれた40代目と戦闘になります。

さて、一度根本的な疑問に立ち返ってみましょう。
大正はなぜ20年も続いているのか?
それは、大正15年で終わる時空と大正20年で終わる時空の二つが並立しているからです。
では大正15年で終わる世界線はどこで描写されているのか?
これはおそらく雷堂がいた世界線ではないのか、と考えられます。

この世界線では東京大地震が発生し、我々が知っている歴史、そして真・女神転生の歴史に進んでいく…。
そうは考えられないでしょうか。
少なくとも大正が20年続き、アカラナ回廊にいた旅行者との食い違いが発生しているのならば、ライドウがいる世界線の方がデビルサマナーによる世界の構築に繋がっているのでしょう。
結果的にライドウの活躍によって歴史は変わらず、デビルサマナーとしての世界はライドウ世界線で続く…と考えられます。

4.40代目の行動

さて、ここまで大正20年の謎を考えてきました。
ここでは、40代目の行動によって何が起きるのかを考えてみましょう。

40代目の目的は、メシア教の崩壊です。
おそらく彼がやりたかったことは、女神転生の世界線における時空の革命だったのでしょう。
ところが、彼が入った世界線はなぜかデビルサマナーに続くことが確定している歴史になっていました。
これは大正20年があることから推測できます。
そして彼はこの時空で国津神と連携して帝都の崩壊に乗り出します。

さて、なぜ国津神と組んだのか。
おそらくですが、富国強兵を行い歴史を修正することを考えたからだと思います。
日本国の勝利が決定づけられれば、悪魔による統治そのものも発生しない。
トールマンによるアメリカからのICBM発射もなくなる。

そう考えた可能性があります。
もちろん、デビルサマナーの世界線ではトールマンが心不全になってもアメリカ方面での核起動が発生しかけたため、仮に40代目が勝利したとしてもICBMの発射は試みられていたと考えられます。
そもそも国津神の野望はアカラナ回廊の存在が明かされる前に失敗しているので、ライドウがスクナヒコナやヤソマガツ(衛星タイイツ)に負ける世界線自体が存在しないと言えます。

さて、帝都で見事に負けた40代目。
その後アカラナ回廊に戻り、別の時代から世界を変えようとします。
結局彼がいたのは2050年後以降の世界(おそらく実態が存在していたであろう時代)です。
では、彼が変えようとしていた時空はどこにあったのでしょうか?
答えは明確で、199X年です。
デビルサマナーと女神転生の世界線がハッキリと分かれるのがあのタイミングになるので、おそらくこの時代に根回しをしようとしていたと考えられます。

しかし、2050年でヤソマガツを動かし暗躍しようとする40代目はライドウに見つかり成敗されました。
結果として彼は女神転生の時空を変えることができなかったのです。
となると一つの疑問。
なぜ初めにライドウの世界に入り込んだのか?
ここは結構謎ですが、彼が時空の歪みに気づき、そこで国津神を使って大正時代をさらに伸ばしていくことで日本を強くし、ICBMを発射させないようにするならば、彼がライドウと対峙したのもあながち間違っていないのかもしれません。

ただ、この説だとわざわざライドウに喧嘩を売っている理由がわかりません。
彼がいるのは大正20年、デビルサマナー暗躍が確定している世界です。
もしかするとライドウのいる世界がそのまま女神転生の世界に繋がるのかもしれませんが、そうなるとアカラナ回廊の大正15年との間に異常が起きるので、雷堂側が大正15年で終了する世界だったと考えたいです。
そうなると妥当なところは「40代目がライドウと雷堂を勘違いした」ぐらいになってしまうんですよね…。
この辺は説が二つに分岐しそうな気がしますが、僕はデビルサマナーの世界と女神転生の世界があって、女神転生の世界の方に雷堂がいる説を支持したいです。

5.40代目の思想を読み解く

さて、最後に40代目本人の考えを、LNCの考え方から覗いていきましょう。

まず、彼はテンプルナイトです。
ロウ側の中でも地位のある、重要な役職になります。
そのため、本来はロウ的思考を持ち合わせていたのでしょう。
ところが何かしらの因果でセンターに反旗を翻すようになり、結果として一連の事故を起こしてメシア教そのものを排除しようとしました。

さて、なぜメシア教を排除しようとしたのか。
彼は「管理されきった社会」「かごの中の自由」と語り、そのうえで「私自らの力で将来を作りたかった」と述べています。
恐らくこの時点で彼はニュートラル的思考に目覚め、神も悪魔もいらない人間中心の社会を築こうとしていたのでしょう。
実際テンプルナイトは東京ミレニアムでは上位層に位置しますが、結果的に作り物の神、偽YHVHと3人の大天使の下僕でしかありません。
センターの悪意に気づいたザインのように、彼もまたセンターに反発することで世界を変えようとした人物の一人と言えます。

ただ、彼の「将来」が何を意味しているのかは謎です。
少なくともミレニアムの実権を握るようなことではなさそうですが、人の手で将来を作りたいと願うのならばニュートラルに近い考え方でしょう。
彼は神や天使に絶望し、狂信的な集団を排除することで、真に人間が人を導くことのできるような社会を見出しました。
これは真1の太上老君のセリフに近いものがあります。

「どちらがまさってもいけない。調和が何より大切」
「感じるか? 地球を、宇宙を。お前たちはその一部であり、全部である。その中に法も混沌も含まれる」
「感じる……全ての存在との繋がりを……素粒子の振動も、銀河のうねりも、ヒロインの胸の鼓動も皆……」

デビルサマナーの世界線では人間が中心であり、悪魔は暗躍する人間の陰で動き回る存在になっています。
あくまで都市伝説程度の扱いを受けている、ということですね。
女神転生のように悪魔がメインに立つことはなく、あくまで人間vs人間の構図の中で物語は進行していきます。
つまり、デビルサマナーの世界には調和や混沌を語り、多くの人を惑わせるような悪魔や超人は現れません。
社会で暗躍する組織が、目的のために動くような世界になっています。
けれども、彼の理想とした人が人を導いていく社会でも、結局悪魔が残っている以上は神頼みになってしまった。
ソウルハッカーズのマニトゥなんかはいい例ですね。
人間だけが、人間を導いていけるような社会なんて、結局は無理だった。
過去作はそう語ります。

ただ実は、そうじゃないゲームが一個だけあるんです。
それが「真・女神転生Ⅴ」です。

この作品は今のところ全く語っていないので申し訳ないのですが、このゲームの真エンドは人間が人間を導くような社会を作り出し、その上の神に主人公自らが降立つという結果に落ち着きます。
タダノヒトナリ(真・女神転生SJの主人公)みたいなオチですが、SJとは違いまだ救いがあるような結果に見えなくもありません。
真に人が人を導けるような社会は現れるのか。
そんな「綺麗事」が叶うのか。
そうした命題の話は、またおいおいできればいいなと思います。
ただ、こうしたことを考えるキッカケは本作にあったような気がします。
女神転生をすべてまとめた考察の話も一回してみたいですね。

6.終わりに

いかがでしたでしょうか。

今回かなり自分の言葉を用いて考察をしてみたので、ところどころ理解に苦しむ部分があるかもしれません。
もっと噛み砕ければいいんですけど、頭の中がわりかしごっちゃになっている段階で書き始めちゃうので、どうしてもグチャッとしちゃうんです…。
すいません。
またご意見やご質問などありましたらコメントしていってくれると助かります。

さて、次回は「デビルサマナー 葛葉ライドウvsアバドン王」のお時間です。
これもうクリアしたので、早々に記事にしたいと思います。
多分感想形式かな、あんまり考察することもないので…。

それではまた次回。さよなら~。


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