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【感想?レビュー?】サイレントヒル2 ホラーの芸術性

こんにちは、なるぼぼです。

先日、サイレントヒル2をクリアしました。
先日述べたようなポイントも好みなのですが、本記事ではストーリーやホラーとしてのサイレントヒルの立ち位置を個人的な分析からお話していこうと思います。
今回も、よろしくお願いします。

前回記事は下のリンクからどうぞ。

1.サイレントヒルの静けさと美しさ

これは前回述べたような霧の町の美しさに関わるものです。
ただ、全部プレイしてみて感想が若干変化しました。

それは、表と裏の美しさです。
表のサイレントヒルは基本的に霧の町として存在していて、その白で強調された恐怖感が、何とも言えず美的であるというのは、前作で述べた通りです。
サイレントヒルのポイントは、それの裏に付随するように存在する、血と錆で構成された裏世界の存在です。
主に屋内で発生しますが、金網でできたどこか脆い床、なぜか穴の先にある刑務所という空間、そして奇怪な敵の姿。
もともと霧の町に違和感として鎮座していたような敵キャラが見事に世界観に溶けていくのが、裏世界の魅力であると感じます。
その流れるような世界観の変遷は、サイレントヒルの幻想の表れであるとともに、ストーリーの根幹に絡むような表現として適切であると感じました。

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そして、徐々に表と裏がわからなくなって溶けていくような感覚も、真実に近づいていく主人公の姿と相まって完璧だったと感じます。
ジェイムズがまだ何も知らず、周りがはっきりと映りこんでいて、まだ現実味を帯びた街の体裁を保っているゲーム開始時の表世界と対照的に、真実に近づいていく終盤では、崩壊した街並みやなぜか金網を上を歩くような演出など、徐々に現実味が薄くなっていきます。
その上で展開されるストーリーとの親和性は、見事なものでした。

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表と裏、世界観としての表現は、今までプレイしてきたゲームの中でも指折りの完成度でした。

2.どんな人にも優しいレベルデザイン

本作の特徴として、「謎解きと戦闘でそれぞれ難易度設定をすることができる」という点が挙げられます。
基本的にゲームでは戦闘の難易度のみが調整できる、というのが一般的です。
少なくとも謎解きに難易度設定があることの方が珍しいと思います。
しかし、サイレントヒル2はそれをやってのけました。

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これができるようになったことで、アクションが苦手だけどサイレントヒルのホラー感と謎解きを楽しみたい、という人も気軽に本作を遊べるようになっています。
また、アクションは得意だけど頭を使った謎解きはそこまで…。というプレイヤーにも最適です。
どちらにも難易度を設定することで対象プレイヤーを広く確保することは、珍しいことである上に、ゲームを楽しく遊ぶことへの配慮ができている、素晴らしいゲームであると感じました。

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ちなみに僕は戦闘はビビってビギナーに、謎解きはノーマルにして遊びました。
戦闘面では一切苦戦することなく、ちょっと難易度上げた方がよかったな、と思うぐらいにまで優しくなっており、とても遊びやすかったです。
ちょっと物足りなかったぐらい。
謎解きは若干積みかけるところはあったものの、かなり丁寧に作られており、旧来から発展した謎解きホラーらしい内容に仕上がっていたと思います。

3.「精神」というストーリー性

何よりもこのゲームを好きになった理由が、「人の精神」を基調としたストーリー構成です。

主人公ジェイムズは、亡くなった妻からなぜか届いた手紙をもとにサイレントヒルを訪れます。
そこで彼が目にしたのは異形の数々。
足取りを追ううちに、若干ヒステリックな雰囲気を持つアンジェラや、トイレで吐きまくる男のエディー、いたずら好きの少女ローラ、妻メアリーにそっくりなマリアと出会います。
マリア以外は孤立してサイレントヒル内で行動しており、時々出会う存在になります。

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作中で重要となるのが、サイレントヒルが入った者の精神に影響して具現化した存在を用意していくという点です。
一人ずつ見ていきましょう。

エディーはひどいいじめにあった結果、サイレントヒル内では罵倒をする人間が徘徊していると思い込み、敵を次々に射殺していきます。
結果としてジェイムズ自身も罵声を浴びせる敵だと思い込み、リボルバー片手に対峙してきます。
彼はジェイムズに殺されますが、これがきっかけとなってジェイムズ自身は何かを忘れていることに気づきます。

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アンジェラは父親に性的虐待を受け続けており、サイレントヒル到達以前に父親を殺していました。
彼女にはサイレントヒルが炎と肉片で出来た以上世界に見えており、最後の出会いの際にジェイムズも彼女の世界を垣間見ることができます。
かなり精神的に参っているようで、ジェイムズに男であるがゆえに罵声を浴びせるなど、恐怖心と怒りに支配されていたようです。

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そしてマリアも、ジェイムズの心が生み出した存在でしかありませんでした。
ジェイムズは冒頭で、3年前にメアリーを病気で亡くしたと語りますがそれは真っ赤な嘘で、実際は病気に対する介護疲れから殺害していました。
その真実を隠すため、病気という思い込みとマリアという人格の具現化を作り出して、サイレントヒルの中を彷徨っていました。
真実を知ったジェイムズにとってマリアはもう必要がなくなってしまったため、メアリーの代わりになれないことを知ったマリアはクリーチャーとなって襲い掛かります。

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そして、敵である三角頭の存在も重要です。
本作で追跡者のように度々登場するボスキャラが三角頭ですが、彼はジェイムズの罪の感情そのものです。
彼自身の罪に対して、粛清を行うためにジェイムズ自身に襲い掛かってきます。
また、現実逃避としての存在であるマリアとは正反対の存在であるため、作中ではマリアを何度も殺害しています。
最終的には自分で決着をつけることを決意したジェイムズによって存在意義が消滅し、自害することになります。

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そしてジェイムズは自信の罪の感情と現実逃避の中で、いくつもの死と発狂と向き合っていき、エンディングで自身の結末を決定します。
本作はマルチエンドが採用されていますが、そこでは彼が現実逃避を続けてマリアと生きていくのか、それとも罪を受け入れて生きていくのか、そして罪を受け入れるのならばどのような方法を取るのか、そういった部分でのエンディングの違いがあります。

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プレイヤーはジェイムズ自身の見ている(あるいはジェイムズが作り出した)サイレントヒルを見ています。
これは、ジェイムズ本人の精神世界を、言葉を使わずに表現していることに他なりません。
ジェイムズは独り言であっても自身の感情を口に発することはなく、自分の身の回りの事実のみを喋ります。
だから、プレイヤーには、ジェイムズの感情を世界観を通じて理解する必要性が出てきます。

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これが考察の奥深さを引き立てるものになっていると思います。
もちろん彼自身には言葉を発することや喜怒哀楽を表現することはできるので、ある程度の想像を彼の表情や行動から読み取ることはできるでしょう。
しかし、その裏にある大きな本心は、世界観としてサイレントヒルが表現してくれているのです。
これは僕の好きな「ゆめにっき」にも通ずるところがあり、すごく好みの演出でした。
主人公の真の感情がわからないときに、外の世界が表現してくれて、それを理解するというのは、中々に面白い演出方法だと思います。
そういったゲームという意味合いで、僕はサイレントヒル2のストーリーが大好きです。

4.終わりに

いかがでしたでしょうか。

なんとなく最後はあやふやな締め方になってしまいましたが、個人的にかなり好きな作品だ、ということが伝わればいいなと思います。
こういった精神世界に関わるような作品、まだまだプレイしていきたいですね。
頑張って探します。

さて、次回のゲームは未定です。
一応PC版の真3を買ってプレイしているので、それの話でもいいかなぁ、とは思っていますが…。
まぁ状況を見て色々とお話していこうと思います。

それでは今回はこの辺で。
またね~。

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