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ガザ停戦デモからの動き(早くアップすべきだった!😭)

タイトルの写真は私の友人が自分の部屋から撮ったデモのゴールであるアメリカ大使館近くのものなのですが、ここに貼る3枚はヴォクソール橋を渡るまでのデモ隊の様子で、イギリスのニュースサイトからお借りしてます。

人が居過ぎて分かりにくいですが、左右に分かれて何台か白い車が停まってるのの、内側が車道。デモ隊は歩道は歩かないことになってるので、手前の歩道に集まってるのは賛同者も傍観者も含めたデモに参加しない人たち。更に手前左隅には、警備の方々に守られて私有地内から様子を見に出ている人たち。

主催側動員目標は100万人、警察発表では30万人の大きなデモだったのですが、混雑を避けるために普通に歩けば徒歩1時間ほど離れた場所にあるハイドパークという大きな公園に集合してから歩き始め、アメリカ大使館前をゴールとして一方通行で行進されたそうです。警察側と事前によく打ち合わせされていたらしく、仮設ガードレールの設置も近隣地区からの応援要員も十分に準備された上で、警備体制については警察側から事前発表が有りました。
アメリカ大使館前も一方通行で流れていたとのことで、近くのスペースも利用しながらスムーズな流れ解散だったそうです(友人談)
テムズ川に架かるヴォクソール橋詰の北側

私たちがロンドンへ来る際の物件探しの候補として、まさにこの曲線の建物の下層階への入居も検討していたので・・もしここに住んでたらどうだったかなと思ってしまった😅 

こちら側は歩道も解放してるみたいですね。歩道との境目が見え難くなってますが、この建物はほんと歩道との物理的な境を設けずに部屋の直ぐ下まで通行人が来れるので、中から見てても道ゆく人と目が合う距離感です。
これだけの人がプライベート空間のすぐ横を通過して行くってなかなかの恐怖。住民はきっと避難されてたのではないかと思う。
ヴォクソール橋
橋の向こう側に見えるのが通称エム・アイ・シックス(MI6)と呼ばれる英国情報局秘密情報部(Military Intelligence 6)です。
ジェームズ・ボンドの勤務先。

私は心配症なので、橋の上に継続的にこんなにたくさんの人が載っても大丈夫か不安になってしまい、ライブで映像が流れた時には直視出来ませんでした。ロンドンの橋は古いものが多く、欄干が低めで石造り。身をのり出したり上を歩いたりしたくなる人も居るらしく、時々人が落ちては下流で見つかったりします。平らな土地を流れる川なので潮の満ち引きに影響を受けるため、大潮の日に強風が吹くなど条件が重なると逆流(というか満ち潮)するので下流に大きな堰があり、だいたいそのあたりで見つかるそうです。哀しい。 
地図中に赤い吹き出しで「Cenotaph(「空の霊廟」の意味)」とあるのが、後述する従軍戦没者慰霊塔です。前回のデモは、イギリス議会や首相官邸に近いこの辺りの地域で行われたのですが、今回は11月11〜12日に慰霊祭があることを配慮して、デモ行進は距離を置いた赤線のエリアで行われました。

左側、公園の隅にある「Kensington」と書かれたちょっと上あたりがイスラエル大使館になるので、双方から十分に距離をとれており、またゴールのアメリカ大使館前は広い公共スペースがとられた新興開発エリアなので、解散もスムーズに出来るという大変よく配慮されたデモだったのではないかと思います。
アメリカ大使館前では以前パンデミックの只中にも黒人人権運動で大規模なデモが行われたことがあり、警備側としてもノウハウが出来ていたかも知れません。今回のデモではアメリカ大使館に対して抗議するというよりもゴールとしての意味合いが高かったと思われますが、このルートが大きな抗議活動のデフォルトのようになってしまうと、私の友だち含め「近くに住んでる者にとってはたまったもんじゃない」という悪感情にも繋がりかねず、難しいですね。 そう言った意味ではやはり、土日で閉まってるお役所や高級オフィスが建ち並ぶ中心地を目掛けて行進する方が正しいのかな。仕方のないことだけれど、公園とか広場もやはりデモ隊が長く滞在すると荒れますからねー🥲



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日本でも報道されたそうですが、先日11月11日の土曜日にロンドンではガザ地区での即時停戦を求める大掛かりなデモが有りました。

実はロンドンではガザ停戦を求めるデモは毎週のように繰り返されており、更に遡れば今回のハマース襲撃の前から(特にロックダウン緩和直後のデモは大きかったです)パレスチナ解放を求めるデモは有ったのですが、今回これ程までに大きな動きとなった背景には、この11日12日の土日がイギリスが百年も前から行って来た従軍戦没者慰霊の週末にあたっていたという事情が有りました。この辺も含めて日本でも報道されてたのかも知れないですが一応記録として書いておきます。

この日もロンドン中心地に有る幾つかの慰霊碑では2分間の黙祷を含んだ慰霊式典が行われたのですが・・上に書いたように、ロンドンでは以前よりパレスチナ解放のデモは繰り返されていた為、地元のイギリス人の中には、単純に、イギリスの首都で他国から来た移民たちが大規模デモを行い、乱闘騒ぎや侵入事件、発煙筒を投げるなどの騒ぎを起こすことを苦々しく感じていた人たちが居たり、それが移民そのものへの嫌悪感へ繋がってしまった人たちも居ました。因みに同じような目は、過激な環境保護団体や黒人人権活動(?)の乱闘騒ぎなどにも向けられています。主義主張への賛同か反対かの前に先ず騒ぎを起こす団体そのものに強い不快感を覚えてしまい、それが同じ主義主張をする者たち全体への嫌悪感に繋がるという図式。

今回そういった警戒感を持った人たちの中から、デモ隊に式典を邪魔されるのではないか、厳かな気持ちで戦没者を慰霊する週末はそっとしておいて欲しいという懸念が高まっていた矢先に、政府の中枢(首相と内務大臣)から、その不安感情を煽るかのような「都市警察の警備はパレスチナ寄り」であるとか、また具体的な慰霊碑の一つの名前をあげ「デモ隊が妨害行為を行うことを防げないのではないか」などの発言が出たことにより、より大きな分断を生む結果となってしまいました。

政府の頂点にいる人物たちからそのような発言が出れば、心配になる人たちが出てくるのは道理です。実際にこれ迄のデモでは(というよりどんな趣旨のデモでも起きることですが)興奮した参加者は何処か高いところに登りたがるものらしく、ロンドンの街中にあるちょっとした高いところというのは英雄たちの銅像だったり慰霊碑だったりすることが多いのですが、そこへよじ登って旗を立てたり雄叫びを上げたりというのは実際に有り、もしデモ隊が近くを通るならば有り得ないことではなかったかも知れません。しかし、今回はデモのルートを儀式を邪魔しないエリアにとる配慮もなされており、都市警察の準備も万全だったのでそれを知っても尚言うこととしては、大変余計なひと言です。(13日に内務大臣のみ発言の責任を取らせる形で更迭されています)

かくして、愛国心に燃えた人たちが「警察側守らない(守れない)ならば俺たちが守る🔥とばかりにロンドンへの集結を呼びかける事態となり、どうなることかと危ぶまれていたのですが・・大きな衝突は無く安全裏に終えることが出来た、というのが今回のデモの、パレスチナ解放そのものからは少し違った視点でのたいへん大きな意義となっています。

「大きな衝突は無く」と書きましたが、それは愛国者チームとデモ参加者たちの衝突としては大ごとにならなかったというだけで、実際には何と、都市警察と愛国者チームの間で儀式開始前に大混乱が有り、皮肉なことに、愛国者側からの逮捕者が多数出ています。
愛国者チームは警察が今回慰霊塔を24時間警備して関係者以外を立ち入り禁止にしたところへ押し寄せて、自分たちに慰霊塔を守らせて欲しかったらしい。警察の封鎖を破って雪崩れ込んだ為、一時期大変なことになっていたようです。*この「愛国者」チームという書き方は私は彼ら自身がそう称してるので尊重してそう書いてるわけですが、内訳としてはもちろん極右グループもあればフーリガンのチームが賛同して参加したケースも有った為、一部報道では「慰霊塔を巡りサッカーファンと警察が衝突」という一見分かりにくい見出しになってるものも有ります。

実際には、パレスチナ解放デモ参加者(パレスチナ人だけではないですよ!)が戦没者慰霊塔を穢すという事態にはならなかったのにも関わらず、
また、都市警察がパレスチナ贔屓をしたという事実も無かったのにも関わらず、

結果としては都市警察による大量の愛国者チーム側逮捕者が出てしまったわけです。
これを受けて「警察はパレスチナ支持か!」「国民を守らず移民の権利を優先するのか!」というマッチポンプ的なことになってしまっている。

愛国の気持ちと保守党支持は元々イコールではないし、また、平和を求め他国の人々を思い遣る気持ちとリベラル政党を支持することもイコールではありませんが、実際何かと混同されることが多い中、今回のことでは政府要人の発言も含め、保守党議員でいること、保守党支持者でいることのリスク考えさせられるような、ある種失望感を残す結果となったのではないかと思われます。
あまりにイメージが悪く、スナク首相は慌てて13日付けで内務大臣を更迭したわけですが、国民は皆スナク首相自身も非常に偏った発言を繰り返して来たことを知ってるので、単にとうとう仲間を裏切ったなというくらいで、あまりイメージ回復の効果が有るとは思えません。スライド人事でキャメロン元首相を外相として任命したそうですが、ここで大きな転換をすればしたで、これまで自分を支持してきた極右層を失うことにもなりかねず、バランス感覚が問われます。というかすごい人事ですよね!😲
キャメロン元首相に関して、日本からの見え方としては「ブレグジット戦犯」的なイメージが強いようですが、何よりも本人は強いEU残留派だったわけで、それをスナクさんが内閣に再起用したというのはちょっと有り得ないような逆行人事なので、何を企んでいるのか。
スナクさん、私は個人的にああいった残酷なお利口さん育ちみたいな人が苦手なのですが、なんせまだお若い(43歳)ので、ピンチの時に先輩方の協力を乞うことは自他共に有りなのではないかなと思います。
国家の前に恥もプライドも必要無いので、若さというメリットを大いに発揮して欲しいと思ってます。スナクさんの聡明さに優しさや正義感、志が加われば楽しみですね。(間に合うか?!)


と、こんな大チャンスに労働党はどうしてるのかと言えば、党としては支持率を急速に伸ばしながらも、党首のスターマーさんがイスラエル反撃の国際法的正当性を譲らないため、労働党内の造反議員が続出しており、求心力を失っています。労働党はカリスマの有ったコービン氏の退陣からまとまりに欠けるところが有って、この最大のチャンスも活かしきれないのであれば何のための第二党なのかと思ってしまう。

以上、長期ビザをとろうが永住権を取ろうが、投票権の無い外国人である私ですが😅香港では普通の朝のニュースでイギリス議会の動きも報道するもので、かれこれ10年以上も見てきており、特にブレグジット国民投票あたりからは個人的にもイギリスとの関わりが深くなったため、今の保守党の極右化と民族や階級分断の流れには感慨深いものが有ります。
本当は、ここに端を発して自分の生き方や子育て(激動の香港と激動のイギリス)についても書きたかったのだけれど、毎度のことながら説明的になってしまい長くなったのでここで一旦アップしておきます。