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技術報告書はノルマか。

技術系の会社で働いている研究者や技術者は、自分の仕事を技術報告書として会社に提出することがしばしばある。私の会社では、”知の共有”と銘打って技術報告書の提出を義務付けている部署が多い。半期毎に提出件数が定められ、人事評価の査定基準としていることが大半だ。技術報告書の提出件数は課や部ごとで管理され、提出率や件数の増減などを暗黙の内に競い合わせる。また、研究者・技術者のモチベーション維持の一環として優秀な技術報告書には優秀賞や最優秀賞などを期末に選出し、部や部門などの会同などで表彰する。

このように技術報告書の提出が期限を切って義務化されるとしばしば起きる問題が、期限通りに出せない人たちが出現することだ。忙しい仕事に関わったために技術報告書の作成まで手が回らなかったり、技術報告書を書くこと自体が不得手だったり理由はさまざまである。この”技術報告書を期限通り出さない人たちが出現する問題”が続くと、やがて管理側は技術報告書推進と称する担当を設定し、布教活動を活発化する。そんな中、私が所属する部署であるアンケートが研究者・技術者に対して行われた。アンケートの一部が以下である。

"技術報告書を提出することはノルマと考えているか?”

この問いにどのように答えるかはその人の捉え方次第であるが、私はこの問いに管理側のやや抑圧的な印象を感じ取る。つまり”技術報告書を提出することは、研究者・技術者にとって当然の義務であり、ノルマだからするようなことではありませんよ。”という意味合いがこのアンケート設問にはあるように思うのだ。むやみに”Yes”などと答えると直ちにその上司に報告され、その所属員には教育的指導が与えられるだろう。

さて、そもそも技術系の会社では、技術者が日々切磋琢磨した技術を文書化し共有することは確かに大事だが、経営という意味では管理職のマネージメント手法も同様に大事なことだ。であれば、技術報告書が研究者・技術者自ら進んで執筆されるものだというならば、マネージメント報告書も当然、管理職諸君から自発的に執筆されるものだろう。しかし、マネージメント報告書なるものを私は見たことがない。

アンケートの問いに戻ろう。
"技術報告書を提出することはノルマと考えているか?”
そんなものは当然”Yes”である。そうでないというならば、なぜ、管理職諸君からマネージメント報告書なるものが自発的に出てこないのか。

まったく、どうしてわが社の管理職はこう矮小な人間しか存在しないのだろうか。

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