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Sonrotoclax(ベイジーン)

Sonrotoclax(BGB-11417)は、BCL2をターゲットとするBH3模倣薬で、特に慢性リンパ性白血病(CLL)や小リンパ性リンパ腫(SLL)の治療に用いられる新しい薬剤です。

今回は話題のベイジーンが擁する次世代BCL2阻害薬その作用機序と臨床試験のデータに基づく特徴ほっていきます。


作用機序

Sonrotoclaxは、細胞内でアポトーシスを制御する重要なタンパク質であるBCL2に結合します。

BCL2ってなに?って普通は思いますよね?
まずはここから掘っていきましょう。

BCL2ってなに?

BCL2タンパク…B-cell lymphoma 2の頭文字とってます。B細胞リンパ腫タンパク…ものものしい名前です🤮

名前からはイメージしにくいですが、細胞の生存と死を制御する重要な役割を担っています。このタンパク質は、主にアポトーシス(プログラムされた細胞死)を防ぐ機能を持ちます。

正常な細胞では、この機能により細胞が不必要に死ぬことを防ぎますが、がん細胞ではBCL2の過剰発現により死を逃れ、治療に対する抵抗性を示します。

要はコイツがいると自然に死ぬはずのがん細胞が死なず、不必要に長生きしちゃうってとですね!

余談

余談ですが、2019年に先行するBCL2阻害薬が発売しています。アッヴィから発売しているベネクルクスタです。

この薬はBCL2に特異的に結合し、そのアポトーシス抑制機能を無効化します。具体的には、BCL2の構造中のBH3結合溝に結合し、プロアポトーシスタンパク質であるBIMの活動を解放します。

この活動により、BAXやBAKといった他のプロアポトーシスタンパク質が活性化され、ミトコンドリアの外膜を透過させることでアポトーシスを引き起こします。


この過程で、ミトコンドリアの外膜透過性(MOMP)が高まると、シトクロムcが細胞質に放出され、カスパーゼという酵素カスケードが活性化される細胞が自己消化し、アポトーシスが完了します。

ベネクルクスタの作用機序は、特にBCL2が過剰に発現している白血病などの血液がんにおいて効果的で、迅速に細胞死を引き起こすことができます。


詳しくはアッヴィさんの作用機序ページを確認下さい。

Sonrotoclaxの作用機序も、基本的には同じです。

ベネクルクスタとSonrotoclaxの違い

Sonrotoclaxとベネクルクスタは、どちらもBCL-2を標的とするがん治療薬です。それでは違いはどこにあるのでしょうか?いくつか重要なポイントを紹介します。

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