ザヌブルチニブ:ブルキンサ(ベイジーン)
今日はベイジーンが引っさげて、もう少しで日本上陸するザヌブルチニブについてほっていくよ!
概要
ザヌブルチニブはBRUKINSAという名前で既に外国では発売されています。何と言っても中国が開発した新薬として初めて米国で承認を取得した新薬です。
ザヌブルチニブは、B細胞抗原受容体(BCR)およびサイトカイン受容体経路におけるシグナリング分子であるBruton's tyrosine kinase(BTK)を阻害することによって作用します。
具体的には、BTKの活性部位にあるシステイン残基という部分と結合し、BTKの活性を阻害します。
この結果、悪性B細胞活動を抑え込みます。
海外の適応としては
慢性リンパ性白血病(CLL)
小細胞性リンパ腫(SLL)
マントル細胞リンパ腫(MCL)
ウォルデンストロームマクログロブリン血症(WM)
などなど、複数のB細胞性悪性腫瘍の治療に承認されています。
BTKってなに?
Bruton's tyrosine kinase(BTK)は、人間の免疫システムにおける非常に重要な酵素で、特にB細胞の成熟と機能に関与しています。
BTKはB細胞受容体(BCR)が外部からの刺激を受け取ると活性化され、その結果としてB細胞は成長、分化を行います。
要はB細胞を増やして戦闘態勢にするシグナルです。
また、BTKは免疫応答を調節するため、炎症や自己免疫疾患の研究においても重要なターゲットです。
例えば、BTKの活性が異常に高い場合、過剰な免疫反応や自己免疫疾患が引き起こされることがあります。そのため、BTKを阻害することで、これらの疾患の治療が可能になる場合があります。
BTKの阻害剤は、特に慢性リンパ性白血病(CLL)やマントル細胞リンパ腫(MCL)などのB細胞が原因のがん治療に用いられています。
これらの薬剤は、BTKの活性を抑えることによって、がん細胞の成長を阻害し、病気の進行を遅らせる効果があります。
臨床試験等
ザヌブルチニブに関する第3相試験の情報を疾患別紹介します。
CLL&SLL
ALPINE試験
- 対象疾患: 再発または難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)または小リンパ球性リンパ腫(SLL)
- 比較薬剤: イブルチニブ
- 主な結果・特徴: ザヌブルチニブはイブルチニブに比べて有害事象の発生率が低く、治療継続期間が長いことが示された。
【詳細】
ALPINE試験のデザイン
ALPINE試験は、再発または難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)および小細胞性リンパ腫(SLL)を持つ患者を対象にしたグローバルな、無作為化、第3相臨床試験です。この試験では、ザヌブルチニブ(160mg、1日2回)とイブルチニブ(420mg、1日1回)の効果と安全性を直接比較しました。
有効性
ザヌブルチニブは、12か月時点での無進行生存率(PFS)がイブルチニブに比べて顕著に高く、94.9%に対して84.0%でした。特に、遺伝子変異(del(17p)またはTP53変異)を持つ高リスク患者群においても、ザヌブルチニブの方が長いPFSを示しました(ハザード比=0.52)。全体的な反応率(ORR)もザヌブルチニブ群で高く、78.3%に対してイブルチニブ群は62.5%でした
安全性
ザヌブルチニブはイブルチニブと比較してより良好な耐容性プロファイルを示しました。特に心血管関連の副作用が少なく、心房細動の発生率がザヌブルチニブで2.5%、イブルチニブで10.1%と大幅に低かったです。また、全てのグレードの心血管障害の発生率もザヌブルチニブが低く、13.7%に対してイブルチニブは25.1%でした。これにより、治療中断や副作用による死亡率もザヌブルチニブの方が低かった。
SEQUOIA試験
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