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NVL-520(Nuvalent)

本日はブレイクスルーセラピー指定をうけたこちらの薬をほっていきます!


作用機序

作用機序を掘っていきます!

ROS1

まずはターゲットから掘っていきます
ROS1は、人間の体内で重要な役割を果たすプロトオンコジンです。

プロトオンコジンってなんやねん!!って話ですが、ざっくりいうと『普段はちゃんと働いていますが、特定の変異や過剰な活性化が起こると、がんを引き起こす可能性がある「オンコジン(癌遺伝子)」に変わるもの』をプロトオンコジンと言います。

有名どころではHER2なんかがあります。

ROS1も普段は細胞成長や分化に関わるチロシンキナーゼというタンパク質をコードしていますが、がん細胞ではこの遺伝子の機能に異常が生じることがあります。

余談ですが、ROS1は「c-ros oncogene 1」の略称で、この遺伝子は初めて発見された時に「c-ros」と名付けられました。ここでの「c」は「cellular」を意味し、元々は鳥類の腫瘍ウイルスから発見された「v-ros」と区別するために付けられた接頭語です。

ROS1遺伝子は、特に非小細胞肺がん(NSCLC)などのいくつかのがん種で、他の遺伝子と融合することがあります。

この融合は、ROS1のチロシンキナーゼドメインを含む新しい遺伝子を作り出し、このドメインが絶えず活性化されることで、がん細胞の増殖が促進されます。

NSCLC患者の約2%でROS1融合が見られ、特に非喫煙者や若い患者に多く見られます。

NVL-520の役割

NVL-520は、このROS1タンパク質に選択的に結合し、その活性を阻害することでがん細胞の増殖を抑制します。

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