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BAY2927088(バイエル)

こんにちは、今回は、BAY2927088についてほっていきます!


BAY2927088概要

BAY2927088は、バイエル社が開発した経口チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)で、特にEGFR(上皮成長因子受容体)およびHER2(ヒト上皮成長因子受容体2)の特定の変異を持つNSCLC患者を対象としています。

EGFRとHER2の基本構造

EGFRとHER2は、細胞の成長と分裂を調節する重要な受容体です。しかし、これらの受容体に変異が起こると、がん細胞の異常な増殖が引き起こされます。特に、EGFRのエクソン20挿入変異というタイプ治療が難しいことで知られています。

EGFRとHER2は細胞膜を貫通する受容体型チロシンキナーゼです。細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、細胞内ドメインの3つの部分から構成されています。

細胞外ドメインは成長因子と結合し、細胞内ドメインはチロシンキナーゼ活性を持ちます。チロシンキナーゼは、チロシン残基にリン酸を付加する酵素で、細胞内のシグナル伝達を活性化します。

EGFRやHER2が活性化されると、下流のシグナル伝達経路を活性化します。

小難しい話抜きにすると、EGFRやHER2が活性化されることで、細胞の増殖や分化、生存がコントロールされています。なのでここが狂うとがん細胞が増殖するわけです。

BAY2927088の作用機序

作用機序は『EGFR及びHER2チロシン自己リン酸化を選択的かつ可逆的に阻害することにより、その結果としてアポトーシスを誘導し、腫瘍細胞の増殖を抑制する』ってタイプですね!

類薬はタイケルブでしょうか。

とはいえ適応は乳がんですが…

メカニズムの特徴は以下4点です。

  • 高選択性: BAY2927088は、変異型のEGFRおよびHER2を特異的に阻害します。

  • EGFRエクソン20挿入変異の阻害: 他の多くのEGFR阻害剤に対して耐性を示すEGFRエクソン20挿入変異に対しても効果を発揮。

  • HER2変異の阻害: HER2の活性化変異も阻害し、がん細胞の異常増殖を防ぎます。

  • 可逆的阻害: この薬剤は可逆的に結合し、ATPの結合を競合的に阻害することでキナーゼ活性を抑えます。耐性管理の側面から可逆的阻害は流行っているんですかね。ピルトプルチニブも可逆的阻害でした!

EGFRエクソン20挿入変異にもちゃんと効くってのは臨床ニーズ高そうですよねぇ🤔

参考

臨床試験の状況(2024/06現在)


つづいて臨床試験の状況を観ていきます。

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