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Bexicaserin (LP352): Longboard Pharmaceuticals

発達性てんかん性脳症(DEEs)は、幼少期に発症する重篤なてんかんの一群で、難治性です。そのため患者の生活の質に大きな影響を与えます。

この記事では、Bexicaserin (LP352)について詳しく掘っていきます!


Bexicaserin (LP352)とは?

Bexicaserin (LP352)は、Longboard Pharmaceuticalsが開発中の口服薬で、特に5-HT2C受容体に対して選択的に作用するスーパーアゴニストです。 

この薬は、GABAの調節を通じて中枢神経の過剰興奮を抑制し、発作の頻度を減少させることを目指しています 。

ポイントは5-HT2C受容体に対して選択的に作用するスーパーアゴニスト!ここです。HT2AとBを刺激することなくCのみを刺激します!

作用機序

Bexicaserinは、セロトニン受容体の一種である5-HT2C受容体を選択的に活性化します。詳しく見ていきます。

  1. 5-HT2C受容体の選択的活性化

    • Bexicaserinは5-HT2C受容体に高い親和性を持ち、この受容体を活性化します。この受容体の活性化は、神経細胞内でのGABA(γ-アミノ酪酸)の放出を促進し、神経の過剰興奮を抑制します。これにより、発作の発生を抑える効果が期待されています。

  2. 中枢神経系への影響

    • 中枢神経系(CNS)でのGABAの調節を通じて、過剰な神経興奮を抑え、発作の頻度を減少させます。このメカニズムにより、発作の制御が可能になります。

  3. 副作用の最小化

    • Bexicaserinは、5-HT2Bおよび5-HT2A受容体に対する影響を持たないため、これらの受容体に関連する副作用を避けることができます。

5-HT2Bおよび5-HT2A刺激による副作用

サブタイプを刺激することによる副作用を見ていきます!

5-HT2B受容体の副作用

5-HT2B受容体の活性化は、特に心血管系に深刻な影響を及ぼすことがあります。主な副作用は以下の通りです:

  1. 心臓弁膜症:5-HT2B受容体の過剰刺激は、心臓弁の病的な肥厚や線維化を引き起こし、心臓弁膜症を発症させる可能性があります 。

  2. 肺高血圧症:肺動脈の収縮を引き起こし、肺高血圧症を誘発することがあります 。

  3. 血管収縮:5-HT2B受容体は血管収縮を促進し、高血圧を悪化させる可能性があります 。


5-HT2A受容体の副作用

5-HT2A受容体は中枢神経系に広く分布しており、その活性化や抑制により様々な副作用が生じます。主なものを列挙します。

  1. 精神的影響:5-HT2A受容体は幻覚剤(例:LSDやシロシビン)の作用点であり、これらの薬物の摂取により幻覚や錯乱などの精神的影響が現れます 。

  2. 不安と抑うつ:過剰な5-HT2A受容体の活性化は不安や抑うつを引き起こす可能性があります 。

  3. 自律神経系への影響:5-HT2A受容体の活性化は自律神経系にも影響を与え、心拍数や血圧の変動を引き起こすことがあります。

サブタイプ叩いちゃうと、心臓と精神に影響があるわけで、長期的に不安がある…そこで開発されたのがBexicaserin (LP352)ってわけですね!🎊

競合薬

Bexicaserinの主な競合薬には、UCBのフィンテプラおよびJazz Pharmaceuticalsのエピディオレックスが挙げられます。これらの薬と比較して、Bexicaserinは特に5-HT2C受容体に対して高い選択性を持ち、副作用リスク低減が期待されています。

どんな薬なのか具体的に見ていきます!

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