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OSE-230(OSE Immunotherapeutics)

慢性炎症は多くの疾患の根本的な要因とされており、その効果的な治療は医学界における長年の課題です。

本日は慢性炎症に対応するために開発がされているOSE Immunotherapeuticsが開発中のOSE-230を掘っていきます!



OSE-230の作用機序

OSE-230は、ChemR23というGタンパク質共役受容体(GPCR)に作用するモノクローナル抗体(MAb)です。

この受容体は、特にマクロファージや樹状細胞に発現しており、炎症の解決に関連する重要な役割を果たします。

慢性炎症解決におけるSPMsの役割

ChemR23は、炎症解決に関与する脂質由来の特殊な仲介物質(SPMs)の受容体です。

SPMsは好中球の移動を停止させ、そのアポトーシスを促進し、細胞の破片の貪食(エフェロサイトーシス)を促進します。

これにより、過剰に募集された好中球による組織の偶発的な損傷を防ぎます。

OSE-230の具体的な作用

OSE-230は、ChemR23受容体を活性化することにより、以下の効果を発揮します。

  1. マクロファージの変換促進:OSE-230は、マクロファージを慢性炎症を解決するタイプへと変換を促進します。

  2. 好中球のアポトーシス加速:OSE-230は、好中球のアポトーシスを加速し、炎症の解決に貢献します。

  3. 好中球の移動抑制:OSE-230は、好中球が内皮障壁を越える移動を抑制することで、炎症を制御します。

臨床的意義と将来性

OSE-230の開発は、慢性炎症を伴う疾患(例えば炎症性腸疾患)の治療に新しい可能性をもたらします。

従来の抗炎症治療は、しばしば炎症の根本的な解決に至らず、再発や合併症のリスクを残していました。しかし、OSE-230は、炎症の解決を直接促進することで、これらの問題に対処する新しいアプローチとなりえます。

臨床試験

臨床試験は未だ始まっていない前臨床プログラムみたいです。

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