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BMS-986278(BMS)

今日は進行性肺線維症(PPF)に対する治療薬としてFDAからブレイクスルーセラピー指定、さらに特発性肺線維症(IPF)の治療薬としても、ファストトラック指定とオーファンドラッグ指定を受けているBMS-986278を掘っていきます。

リソホスファチジン酸受容体1(LPA1)

まずはターゲットを掘っていきます!

LPA1受容体の基本概念

LPA1受容体: 細胞の表面に存在する特定のタイプの受容体で、リゾホスファチジン酸(LPA)というシグナル分子の結合によって活性化されます。

LPAは、脂質から派生した生体内シグナル分子で、多くの生理的プロセスに関与しています。

もうちょっと具体的にはGタンパク質共役受容体の一つで、細胞内の複数のシグナル伝達経路(Gi、Gq、G12、およびβ-arrestin経路)を活性化しています。

細胞機能への影響: LPA1受容体は、特に肺の損傷時に細胞のアポトーシス(自己破壊プロセス)を促進することが知られています。また、線維芽細胞(組織の修復や線維化に関与する細胞)の活性化にも影響を及ぼします。

LPA1受容体と肺線維症

肺線維症: 肺線維症は肺組織が損傷を受けた後、正常な肺組織が過剰な線維性組織に置き換わる疾患です。この過程で、肺の柔軟性が失われ、機能が低下します。

病態メカニズム: LPA1受容体を介したシグナル伝達は、肺組織の損傷に応じて線維芽細胞の活性化を促進し、線維化プロセスを加速させます。過剰な活性化が起こった場合、肺組織の構造と機能が変化し、線維化が進行します。

要は肺の健康を守るために、肺組織が傷ついたときに修復作業を監督しているわけですが、うまく機能しないと、肺組織が過剰に硬くなってしまう肺線維症という問題を引き起こすわけですね!

BMS-986278の作用機序

まぁここまでわかってしまったら機序を掘る必要もない気がしますが(笑)一応ほっていきます!

BMS-986278は、LPA1受容体の拮抗剤として機能します。BMS-986278は、LPA1によって媒介されるシグナル伝達経路におけるLPAの作用を強力に阻害します。
これにより、線維芽細胞の活性化や肺線維症に関与する他の過程が抑制され、肺機能の低下を遅らせることができます。

1点わからなかったのが、どうやって肺への特異性をあげているのか?という点です。

ターゲットであるLPA1受容体は体の様々なところにある受容体であり、BMS-986278が肺以外の組織にどの程度作用するか、または肺に特異的に作用するための追加的な機構があるかどうかについての詳細な情報を得ることができませんでした。

副作用の項目に現れるかもしれませんね。

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