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『ブルーヘロンのいる森で約束したこと』第10話

♡第9話続き♡

「ところで治療するってどうやって?」
サヤカが聞いた
「ヤシの木は何でも使えるという話をしたと思うんやけど ヤシの皮も止血薬として使えんのよ。すごいやろ」
「うん ヤシの木ってすごいんだね。でも皮なんて持ってるの?」
「サヤカ 俺はそのヤシの木から来た妖精やで。持ってないもんはないで」

そう言うと自分の持っていた大きな葉を突然ひるがえしてポケットのようなものをさして言った
「ここに何でも入っとる」

ヤシムンはさっそく治療にとりかかり始めた
「手伝うことがあったら言ってね」
サヤカはヤシムンに伝えた

治療の間、ハヤトもサヤカも祈り続けた
しばらくしてヤシムンが手を止めた
「これで大丈夫やろ。明日には元気やで」
「良かった」
みんなで喜び合った

「。。っていうか明日?」
「そう明日」
「じゃあ今日どこで宿とんの?」
「宿なんてもんはないけどな。。この近くに俺の知っとんのがおるわ。そいつに頼もう思うとる」

ハヤトは少しでも早く外の世界へと思いもしたが、ゴールドのことを思えば仕方のないことだとすぐに諦めた

「あっそれと。。さっきの大蛇。。やっぱり死んじゃったんだよね。。」
ハヤトはずっと気になっていた
「あいつも生きとるわ。ただ治療はせんでもええわ。あいつには猛毒もあるしな。うかつには近寄れんわ。それに青い羽、刺さったやろ。あれでな命助かったんや。
一時的にからだを麻痺させ、動きを止められるうえに少し経てば動けるようになるんや。
あの羽には治療する力もあるよって回復するんや」

ハヤトは聞いていて血の気が引いていくのがわかった
「ヤシムン ちょっと!猛毒あるなんて俺聞いてなかったぞ。そういうの先、言わないか。。普通」
「それやったら聞くけど、先聞いとっても投げられたんか?
怖くなって震えて投げられなかったんとちゃうんか」
「それとこれとは別だよ」
ハヤトは声を上げた

「お兄ちゃん、気持ちわかるけど。。ま 今こうして生きているわけだからさ もういいじゃん」
「いいじゃんって サヤカまで。。」
サヤカは久しぶりに声高く笑った

「それにしても。。」
ハヤトは言葉を渋りながら口にした
「ブルーヘロンの青い羽。。治癒力があるって言ってたけど、あんな乱暴な危険なやつをいくら他に方法がなかったからって 結果、助けることになっちゃうなんてな」

「ハヤト いいかよく聞け。いい者も悪い者もみな同じ命なんだ。わかるか?
あっいや。。今はまだわからんでもええ。ただあの大蛇も今回、命を再び吹き込まれたことで何かを感じ学んどるはずじゃ。
地球上のもん、みんな何やら学びにやってきとるんじゃ。。ハヤトお前もな。
ブルーヘロンはその事をよう知っとる」

ハヤトは何とも言い難い気持ちにさいなまれていた
「そやけどハヤト、あの大蛇がどうなったんか ちゃんと気にしとったやないか」
ハヤトははっとした。。はっとして初めて自分の心根を知った

「ヤシムン。。」
そこからはもう言葉にならなかった
言葉にならず涙だけが溢れてきた

ハヤトの肩をそっと寄せるとヤシムンは言った
「ほな先へ行こか」

             ♡続く♡

私は自分の親との関係が良好でなかった為いろんな経験をしました。その経験を活かしてお母さん、お父さんの子育てのストレスが解放される楽しい時間を、たくさんの子供たちに笑顔を提供していきたいと全国の舞台で朗読劇、楽しいパフォーマンスをやる事を目標にしています。応援よろしくお願いします♡