★《続・読書余論》アンリ・ベルクソン著、岡部聡夫tr.『物質と記憶』1995年刊

こんかいの《続・読書余論》は、フランスの哲学者ベルクソン(1859~1941)が、19世紀末において、人間の脳の機能について推理した大作です。

この難解な名著の全容を、私は理解できたとはとても申せないのですが、2018年に『AI戦争論』を書く時にひとつの確信を与えてくれたのが、本書中にある、夢に関する意味深いヒントでした。

AIには、わたしたち人間の住む現実世界を支配する力はありません。「身体」をもたない人工知能は、受け取った情報がリアルなのか、それとも捏造された「夢」なのか、判断するよすががないからです。

「メタバース」なんてものが世の中を変えることはない――と私が断言できるのも、ベルクソンのおかげです。

例によって、旧読書余論などから、関係ありげなコンテンツをあつめて付録しておきましょう。
 そのタイトルには、『荀子(下)』『伊藤整全集 21』『健康増進 競歩研究 歩行と体育』『救世軍』『独逸の肉弾』『米国小学読本』『射経』『モナドロジー 形而上学叙説』……などが、含まれています。

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