★《続・読書余論》高田万亀子著『静かなる楯・米内光政 上・下』1990年刊・ほか

こんかいの《続・読書余論》は、先の大戦の終結に尽力した筆頭人の、浩瀚な評伝です。
 あまりにボリュームがあるので、ずっと「積んどく」状態でしたが、有益でした。

推薦人の大井篤が言うとおり、「いままで私も米内さんを取り扱った著述を幾つか読んだが」「これが断然いちばんだ」。

おそろしい発見があります。著者は指摘してはいないのですが、これを読了したら、伏見宮博恭[ひろやす]王(三国同盟前まで9年間も海軍軍令部総長)が、三国同盟を推進し、日米戦争を不可避にしたキーパーソンで、さらには終戦をも妨害したのではないかとしか想像ができなくなってしまう。それは古い日本人には公然とは言えないことでした。

例によって《旧・読書余論》から、ちょっと関係ありげな摘録を附録します。コンテンツには、『葛山鴻爪』『暗黒日記 III』『吉田茂の軍事顧問 辰巳栄一』……などが、含まれています。

ここから先は

110,001字

¥ 230

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?