★《続・読書余論》 上陸戦 ミニ特集

 こんかいの《続・読書余論》は、《旧・読書余論》から、上陸作戦関連の摘録をあつめてみました。ただしすでに《続・読書余論》の中で紹介したものを割愛してありますので、量的に多くありません。

 ところでオホーツク海の南部。1月下旬には北海道北岸まで海氷が覆います。こうなると樺太南部からの通船に依存している北方四島へは水上補給も増援も来なくなる。樺太東岸では氷の厚さは1mにもなります。この状態が4月に入るまで続く。かたや四島の太平洋側には海氷は張りません。

 同諸島へは露軍はヘリコプターでなら介入できるが、距離のハンデが大きい。知床半島に推進させたレーダーからも丸見えになってしまいます。自衛隊側は、敵の裏を掻いて任意の地点に兵力を奇襲的に送り込める。
 やるなら、このシーズン中こそ、好機です。

 それでわたしは以前に自著で提案しました。北部方面隊の雪上車は、春以降は遊休装備となり、夏季のAPCとの「二重装備」にもなるので、これを、2倍の単価になってもいいから、前後「重連」式の装軌車(無装甲兵員輸送車)で一括合理化更新すれば、重連式装軌車は基本的に沼地仕様で「浮航性」もあるので、根室近傍の露軍に重圧をかけられるじゃないかと。
 海流の速いあのあたりで、なにもショアtoショアの機動をさせる必要はない。知床半島など道路未整備の海浜部を自在に機動できるということに意義があるでしょう。それは牽引車にもなるのですからね。

 常に自衛隊側から北方領土に「プレゼンスの圧力」を及ぼしていなければ、そもそもロシア政府は日本と領土交渉する必要を認めません。そのあたりまえの地政学を理解できない政治家が多いのが情けない現実です。有力政治家に、ロシアに関するフィクションをいろいろと吹き込んでいる「側近」たちは、過去のロシア史を知らないはずがないと思われるので、昔で言うところの「露探」の志願者なのかしらんと私は疑い続けています。

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