★《続・読書余論》山川 理 著『サツマイモの世界 世界のサツマイモ』2017年刊・ほか

こんかいの《続・読書余論》は、地球的な食糧のサプライチェーンが、ウクライナ戦争を景気にこれから大きく攪乱される可能性を予見して、農業研究センターを定年まで勤めた、さつまいも一筋の専門家が書いた提言に、耳を傾けようと思います。
 本書では、食糧のみならず石油までもが輸入できなくなり、かつまた、関東地方の畑が放射能汚染で使えなくなったという最悪ケースにおいても、甘藷の苗の緊急作付けによって、日本人は餓死しないで済む(栄養バランス上も特に問題が無い)――という明るい計算が、詳しく解説されています。

ジャガイモはと違って、サツマイモは「野菜」の機能までも兼ね備えているため、他の野菜は必要がない、という話は盲点でした。

例によって、農村と漁村、さらには狩猟や弓矢に関連した文献の摘録を、《旧・読書余論》からあつめて附録します。
 コンテンツには、『古代文明史 1・2』『北海道植物歳時記』『花の自然史――美しさの進化学』『折口信夫全集 第四巻』『折口信夫全集 第二十巻』『折口信夫全集 第廿九巻』『沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史』『ゴム工業』『ゴム資源を圜る敵戦時経済の動揺』『元禄及び享保時代に於ける経済思想の研究』『家族問題と家族法 1』『弥生時代の石器』『隣組配給の知識』『戦没農民兵士の手紙』『カラスの勝手は許さない』『狩猟図説』『日本内科全書 八巻 「塹壕熱」』『潜水器漁業百年』『品川湾の投網』『水上労働者と寄子の生活』『山村動物誌』 ……などが、含まれています。

ここから先は

36,457字

¥ 150

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?