★《続・読書余論》 藤原てい・著『流れる星は生きている』1976年 中公文庫 + 朝鮮半島特集

 こんかいの《続・読書余論》は、ウクライナの大規模難民発生事態を見て、ひとつの実録小説をご紹介することにします。

 母親が、ある日とつぜんに、わが子3人(0歳、3歳、6歳)を連れた難民になる――とは、一体、どんな苦行でしょうか?

 ここに、新田次郎の奥さんが書き残した、文字通り壮絶な、新京(満洲)→釜山 の陸路引揚げ実話があります。
 一度読んだら、あなたはもう、この本の内容を死ぬまで忘れられないでしょう。そのぐらいの衝迫力がある文章です。
 まるでじぶんで体験したような気になってしまう。

 全編、「特に悪い」朝鮮人・支那人・ロシア人は登場しないのですが、最悪事態に追い立てられる日本人集団の特濃の描写が、はじめから最後までひたすらに生々しい。

 原文のボリュームは、一晩で読める量です。……が、とかく面倒くさがり屋である現代人の皆さんのために、わたしが妙に感心したところだけを抜き書きしてみました。
 これをご覧になっても「あらすじ」は把握できませんので、あしからず。

 韓国の大統領選挙も済んだようですので、ついでに、朝鮮半島やその関連の摘録を、《旧・読書余論》から集めて附録しましょう。

 コンテンツには、『二十五年! 朝鮮は何を得たか?』『日本に遺る印度系文物の研究』『土幕民の生活・衛生』『薩藩戦史考証』『桑港罹災日本人救済顛末』『朝鮮ノ墓地及墓地規則ノ研究』『マネー・ボール〔完全版〕』『壬辰戦乱史』『京都大学総合博物館春季企画展展示図録~王者の武装』『仲間をえらべ』『別冊歴史読本 日本古代史[騒乱]の最前線』『支那城郭ノ概要』『世渡り体験談』『朝鮮人を祀れる神社』『満洲中央銀行十年史』『北辺・開拓・アイヌ』『日本人 付・戦争と国民性』『名判官物語』『折口信夫全集 第五巻』『城と要塞』『蹄の音』『北鮮三港と日満通商関係』……などが含まれています。

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