★《続・読書余論》松井廣吉『英清 鴉片戰史』明治27年刊

 こんかいの《続・読書余論》は、日清戦争のまっただなかに作られた出版企画で、これまた、シナ軍は昔から弱い、嘘ばかりついて外国を欺こうとしてきた、といったステロタイプの強化に役立ったことでしょう。

 明治27年時点で、1840年の阿片戦争について日本人が日本国内で手に入る英語文献や漢語文献を調べても、どのくらいのことがぜんぜんわからなかったのかという事情も、この1冊が教えてくれますので、貴重です。今日の、インターネットを使えばたいていの史実が確かめられる情報環境がいかに有り難いのか、わたしは読み直して痛感しました。

 おまけとして、《旧・読書余論》のなかから、『欧州事情叢書 第六冊 英国の支那侵入』『支那長生秘術』『北支那戦争記』『鈴木春山兵學全集 上巻』『支那重工業発達史』『支那侵略者英米財閥』『呉淞クリーク』『櫻井忠温全集 第四巻』『中国日記』『バイエル創業五十年史』『佐藤信淵武学集 中』『陸軍大将本郷房太郎傳』『子母澤寛全集 12 行きゆきて峠あり 狼と鷹』などをピックアップしてくっつけました。

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