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歴史&文学散歩

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各地の史跡をめぐった記録です。
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#森鷗外

ご当地文豪@文京区 鷗外、一葉、啄木など

 関西出身で、地理に興味もないので、東京周辺には知らない市町村が多いです(何も、張り切って書くようなことでもないですが)。  埼玉県の羽生市も、最近知った地名です。田山花袋の『田舎教師』に出てきたので、ネットで調べると、「田山花袋の小説『田舎教師』の舞台となったまち」と市のHPに出ていました。田舎教師が売りみたい。「田舎教師像前」というコミュニティーバスの停留所までありました。近所に住んでいたら、遊びに来る友達に「田舎教師像前で降りてね」と説明するのでしょうか。それはちょっ

東京国立近代美術館 『重要文化財の秘密』 森鷗外に導かれて

 東京国立近代美術館で開催中の『重要文化財の秘密』展を見てきました。明治以降の重要文化財(絵画・彫刻・陶芸)68点のうちの51点を集めた特別展です。  去年、東博の国宝展を見た時に知りましたが、国宝指定の美術品のうち、成立年代が一番新しいのは渡辺崋山の『鷹見泉石像』(1837年)。つまり、明治以降の作品はまだ国宝にはなっていないんですね。ある程度時間が経たないと、評価が定まらないということなのでしょうか。  文化庁のHPに「国宝 重要文化財のうち極めて優秀で、かつ、文化史的意

上野の森で悲劇の画家の最高傑作を見る 「国宝 東京国立博物館のすべて」 後篇

 トーハクの国宝展で一番見たかったのが、渡辺崋山の「鷹見泉石像」です。田原藩の家老、蛮社の獄で自死に追いやられる政治家としての崋山のことは前から知っていて、尊敬もしていたのですが、画家としての崋山には興味がありませんでした。浮世絵以外の日本の絵に興味がなく、江戸時代の文化についてもよく知らなかったので、「家老なのに、絵まで描いていたなんてすごい」程度の認識だったのです。  それが、森鷗外の史伝小説『渋江抽斎』と『伊澤蘭軒』を読んで、江戸時代後期に活躍した崋山のような文人に興

上野の森で国宝を見る 「国宝 東京国立博物館のすべて」 前編

 上野にある東京国立博物館(トーハク)で開催されている特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」に行ってきました。  トーハクは、上野公園の西郷像のある場所を手前とすると、一番奥にある博物館です。今回の特別展では、博物館の創立150年を記念して、国宝89点を始めとする所蔵品中の逸品を展示しています。 私とトーハク  私にとってトーハクは、特別展で何度か訪れただけの馴染みの薄い博物館でしたが、森鷗外が総長を務めていたと知って、改めて訪問したくなりました。  それで、トーハクに

東大図書館で知の巨人の足跡を追う 森鷗外歿後100年記念展

 東大附属図書館で開催されている「テエベス百門の断面図 歿後100年記念 森鷗外旧蔵書展」を見学してきました。  図書館の閲覧スペースは東大関係者しか入れませんが、展示会は誰でも無料で見学できます。おまけに分厚い目録まで無料だなんて、国立大学だからとはいえ、太っ腹ですね。  だけど「テエベス百門の断面図」って…。東大生はこれを見て「おおっ。面白そうだな。ちょっと見て行くか」と思うのでしょうか? もともと小難しそうなイメージがある鷗外を、ますますとっつきにくいものにしているの