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読書感想文

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海外文学や現代文学の感想文。
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#カフカ

2023年11月読書記録 青空文庫で読む海外文学など

 脚本家の山田太一さんが亡くなりました。  山田さんのドラマで、リアルタイムで観たのは『ふぞろいの林檎たち』の3と4だけなのですが、林檎の1・2や『男たちの旅路』を再放送等で観て、とても感動しました。ふぞろい〜のテーマは今に通じるものがありますし、男たちの方は、鶴田浩二さんが何ともかっこ良く……。  また、大河ドラマ『獅子の時代』の脚本を高校時代に読んだことが、大学で日本史を学ぶ契機の一つになりました。  私にとっては、忘れがたい芸術家の一人です。  再放送やストリーミングで

カフカ『変身』など

 近いうちに、村上春樹さんの長編小説『海辺のカフカ』の感想を投稿する予定なので、その前振りとして、カフカの小説について少し書いてみます。  上の引用にあるように、『海辺のカフカ』の主人公と大島さんは、カフカの短編の中では『流刑地にて』が一番好きなようです。  これはちょっと、変化球の答えかもしれません。『流刑地』も好きですが、普通はカフカといえば『変身』…十代の頃、私が一番好きだったのも『変身』でした。  十代の頃は、谷崎潤一郎の『細雪』、ジェイン・オースティンの『高慢と

2023年1月 読書記録 ポピュリズム、カフカ、カフェーの女給

筒井清忠『戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道』(中公新書)  ポピュリズムの概念は理解できるのですが、どこまでが「国民の声を聞く」でどこからが「ポピュリズム」になるのか家族に訊かれても、答えられない。ーーということで、戦前のポピュリズムを分析しているこの新書を読んでみました。しかし、日本史専修出身とは思えないほど昭和史に疎い私にとっては良い復習になったものの、現状の理解にはつながりませんでした。家族には、「『オール・ザ・キングスメン』を観て考えてみよう。ショーン・ペン主