マガジンのカバー画像

読書感想文

46
海外文学や現代文学の感想文。
運営しているクリエイター

#1Q84

歴史改変小説を読む ifの世界線

 数日前にフィリップ・ロスの『プロット・アゲンスト・アメリカ』を読み終わりました。  出版社の解説にあるように、1940年のアメリカ大統領選挙でルーズベルトではなく、リンドバーグが大統領に選ばれていたら、というifの世界を書く小説なんですね。  ifの世界=架空の世界線を書く小説を「歴史改変SF」と呼ぶようです。SFとはいうものの、他ジャンルの作家の小説も多いのが特徴です。フィリップ・ロスも、現代米文学界を代表する作家の一人でした。  私は、ディストピア小説=自由がなく

プルースト『失われた時を求めて』を読む 前編

 プルーストの『失われた時を求めて』を読み終えました。  去年の9月の読書記録に『失われた時を求めて』(光文社版)の1巻を読み終えたと書いてあるので、1年と4ヶ月ほどかかったことになります。 大長編を読む楽しみ  いやー、長かった。『失われた時を求めて』光文社版は途中までしか出ていないのですが(なので、途中からはグーテンベルク21版を読みました)、岩波文庫版は14巻、集英社版は13巻。大長編ですよね。  フォローしている楠本栞さんが『なが〜い小説を読む醍醐味』という記事を