2024年4月読書記録 川端、太宰、ドストエフスキー
マリー・ルイーゼ・カシュニッツ『その昔、N市では』(東京創元社・酒寄進一訳)
ドイツミステリーの翻訳者として有名な酒寄進一さんが編集した短編集です。日常に忍び寄る不安や孤独、悲しみ。それらの感情が引き起こす出来事を淡々と描く物語が多いです。リアリズムのまま幕を閉じる話もあれば、薄い壁を越えて、非現実の世界に向かう話もあります。
村上春樹さんの短編には、女性が主人公の作品もいくつかありますが、それと似た雰囲気の作品がこの短編集にはいくつかありました。女性の不穏な気分が世界