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裏裏ひよこ日記 暇があっても、なくても時間を作り出す。

ひよこが休職してプラハに留学してからもう3ヶ月になろうかとしている。

最初は3ヶ月の予定だった。だが、ひよこはもうちょっと頑張りたいと言いだした。

自分が自分の感情を抑えに抑えてもう無理!な時にはじめてプラハまで会いにいった。なのにひよこのしたいようにするのが一番だと後押しをし、ヨハン先生にレッスンは3ヶ月で足りますか?と確認したら正直まだ足りない。今からが本番て感じかしら?彼女の状況が許すなら1年はみっちり勉強してほしいところ。とヨハン先生はそう言った。

彼女の進捗状況を聞き、ならばとスパーンとその場でとりあえず延長3ヶ月分のレッスン代をひよこに無断で先払いしてきたのであった。

ああ、オレがんばったわ。マジで。いや、支払いの話じゃない。感情の行き所のはなしをしている。

単なる礼儀作法のレッスンだけならばひよこは前にもスイスで勉強してるし、こうはいってはなんだが自分だってある程度は教えて上げることはできる。それにひよこは基礎はきちんと履修済みだ。だが、ひよこが再び見たい知りたい学びたいは、そういうことではなく、全てを網羅したアール・ド・ヴィーヴルとサヴォワビーブルにそこから派生する知識と教養全般。

こんなの反対できますか?無理だろ?

ということで、パリに置いてけぼりになった男2人は暇さえあれば、暇がなくても時間を作り出し、ひよこの留学先のプラハに様子を見にいくのであった。


休職中で働き始めてから自分で貯めたお金で自分でレッスン代や生活費をやりくりしてるひよこだが、病院代やレッスン以外での細かい出費や、知識を深めるための本物に触れる機会や外見のブラッシュアップするにはひよこひとりでどうにかしようとするのはちと難しいものがある。あの人が身につけたいモノを勉強するには時間もお金もかかるのだ。

ひよこを構いたくて仕方ない2人はひよこが自分ひとりでなんとかしようとする習慣から脱出させるため(という表向きな言い方だが、ほんとのところは忘れられたら困るから責任を持って生活の全ての面倒をみたいがために費用を全面援助することにした)お互いが被らないような紳士協定を結び、食事の作り置きとか家事とか勉強の手助けと称して劇場やオーケストラや美術館や歴史建造物や車じゃないと行けない場所に連れ回したりと忙しいのだ。

そしてひよこがいないMKHDは今までなかったレベルで話しかけてきたり、駐車場やエントランスホールで待ち伏せされたり、目をキュルンとさせて上目遣いで近づかれたり、食事に誘ってこられたり。飲みに誘われたり、相談に乗ってくれ。とかが急に増した。

簡単にいうとターゲットにされている。らしい。

独身でまあまあな収入でいまならひよこがいない。すごい落とし時で狙い時らしい。

だが、こっちはそんな暇なんてない。


前より仕事忙しい。個人の仕事も忙しい。今大金動かしていて結構神経使ってる。資産の増やし時というのはタイミング勝負でもある。
それに趣味に忙しい。知らん女とデートや飯なんて行くのダルいし時間がもったいない。話噛み合わないし。今更やっかいな面倒ごとなんて起こしたくない。

という愚痴をランチタイムの社食カフェでテオとハル達相手にぶつくさ言っていた。

うわあ。モテモテじゃーん。うらやまー。と棒読みでテオ達がからかう。

ハルはやっぱりそうなりますよね。と頷きながらカレーを食べている。

…ぜんぶアイツのせいだ。

ひよこいい抑止力だったんだね。

ていうか、フレッドさん、ひよとどうなってるの?2人絶対自分たちがどうなったとかマジで口わらないじゃん?秘密保持がすごいんだけど?

…別に?どうも?

そんなんだから他の女の子が期待するんだよ。
期待持たせないようにしなきゃ。
カイがもっともな事をいう。

チッ!

わあ、舌打ちしたー

一同ウケまくっている。

で、どうなの?

…。

うわー、ケチくね?
ギヨームがわざとらしく騒ぐ

むしろなんでそんなべらべら喋らないとならないんだ?

ん?だってフレッドさんひよめっちゃ大好きじゃん。

めっちゃどころじゃないだろよ。

アレで違うとかだったら
ちょっとひよがかわいそうかも。

え?違うの?ガチだよね?

好きにいえ。

そういえば再来週あたり、一回こっちに来るぞ?

ひよ?会社にくるの?

休職の延長ができるのか話し合いにこっちに来るんだ。

一時帰国?

まあ。そうなるな。すぐに帰るけど。

マジ?

かえってくんならみんなで飯食いにいこうぜ。

そうだな。


そんな賑やかしいランチタイムを終えて部署に戻ろうとしていると


…あのう、部長すみません。

なにか?

あのう…そのちょっと。

どうした?

あの…ご相談がありまして。

なに?

よかったら仕事が終わった後にでも話を聞いてもらえたら。

…あー、その。仕事のことならいくらでも聞くけどその他の事なら相談には乗れない。

…え

やたらキュルンな目と甘ったるい香水つけて目がパチパチな感じでしれっとボディタッチしてくるがやめてほしい。

すまないが適任をさがしてくれないか。

…ひどい。

はいはいはい。僕でいいなら全然話きくし!
ズイッとテオが前にでてきた。

え、あ。テオさんが?

僕でよければ。いつでもどうぞ?

はい。

ははー、番号ゲットしちゃったしー。飲みに行くし!

よかったな。

まあ。うん。女の子はみーんな可愛いからねえ。


なに?

テオ。さすがだな。


そう?150年前のフレッドさんを見習ってみただけだよ?

…お前…そ

はー?そうなの?
そんな時代あっての今なんだ?

いやー、ひよこの力は偉大だね。うん。本気だとこうも違うわけだし?


フレッドさん。

なに?

ね、ひよさ。

うん?

めっちゃ可愛くなったよね?おれこないだいったじゃん。ミシェルとかと。

ああ。

ひよさー。オレらといるときはいつものポンコツなんだけど、ちょっと離れた距離とかからみたりするじゃん。そしたら誰?てくらい違うよね?

…そう?

ひとりで留学させっぱなしで大丈夫?ブラッシュアップの為に留学して勉強してるんだからさあ。しらねーぞー。

ポンコツでさらに可愛いとか最強じゃん。
テオがうなづきながらなぜか納得している。

ね?とニヤニヤされている。

あ?ああそうだな。


お前そう思う?


オレはハルに聞いてみた。

ハルは真面目にこういった。

エネルギーが変わると、取り巻く環境は変わりますよね、エネルギーレベルが上がるといろいろ変わりますよね。興味深いですね。

ひよこ、ちゅーぎんと評議会の特別査定枠リストに入りましたよ。たぶんもうすぐフレッドさんたちに面接の連絡がいきます。ガイドとしての。


…そうなるよな

で、フレッドさん。ひよとどうなの?

改めてテオとハルが聞いてきた。

…あいつとは

あいつとは?

婚約している。

え、それは偽装じゃなくてガチなやつ?

偽装じゃない。

やっぱそうなるよなー!!
なるよなー。わかるわ。


カイとかリョウとかニヤニヤしてる。

てか、やっと聞けたし。



















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