エル・ウッズみたいな女のコ④
海のそばのカフェから帰る時もハンドルを握らせてもらった。こういうクルマ乗る機会めったにないしミシェルさんの運転は怪しいし。
家まで送りますよ?どちらにお住まいですか?
えっ?あのそしたらハル君は帰る時どうするの?わたしの家とハル君のおうちは真逆の方向じゃなかったかしら?
あー、僕はどうにでもなるんで、大丈夫です。
えっとえっとそしたらそのクルマ明日返してくれたらいいです。あ!駐車場代とか払いますから!
えっ?そしたら明日の朝ミシェルさん会社行くとき困るでしょ?
あっ…でもわたしは全然構わないので。
そしたらこうしましょう。
僕が明日の朝ミシェルさんを迎えに行きます。そして会社迄一緒にいく。どうでしょう?
え、あ、あ、はい。
じゃあそういう事で。
連絡先を教えてください。別に変な意味じゃないです。これから試験のことでやり取りする機会もあるだろうし。
は、はい!
ハンドバッグをゴソゴソしてメモ帳にどピンクのデカい羽のついたボールペンで連絡先を書いているミシェルさんは小物まで自分の好みを貫いている一貫性のある女のコのようだ。
これです。ポケットにいれときますね?
ミシェルさんは僕のスーツのジャケットのポケットにメモ用紙を突っ込んでくれた
ミシェルさんを送り届け自分の家までミシェルさんのクルマで帰り、自分がめちゃくちゃトンチンカンな事をしたんじゃないかと今頃になって思えてきた。僕はもしかして舞い上がっていたんじゃないのかと。
クルマ…明日迎えに行く、会社に一緒に出勤。
…あーっ!!やっちまった!部屋で叫ぶ
仕方ない…。もうコレあれだ。ネタだ。
エルンストさんやテオにバレたらずっと突っ込まれる
あ、そうだ、学力診断テスト。入社前に勉強してた過去問題集どこやったかな?
僕はそれから夕飯を食べながら2時間ほどかかってミシェルさん用の試験問題を作って寝た。
朝、ミシェルさんが住んでる通りでミシェルさんを拾い会社に向かった。
この人朝からバッチリ決めてる、いったい何時から支度してんだろう、女のコって大変なんだな。と思いながら会社の駐車場にクルマを止めたら運悪く?フレッドさんとひよこがそこにいてバッチリ見られた。
心なしフレッドさんの表情がニヤっとして好奇心に満ち溢れてるような気がする。ひよこになんか耳打ちしてるし。ひよこはわぁー!て顔して満面の笑みをしてフレッドさんと笑いあってる。
あっ!ミシェルおはよー!
僕とミシェルさんが朝から一緒にいても全く気にもかけないひよこはスゴイ
おはよーひよ!
ハルと一緒?
うん!そこでたまたま会ってね、一緒に来たの
そうなんだーよかったねえ、仲良くなれて
うん!そうなの。
フレッドさんは僕をみてふうん?て笑った
いや!そんなんじゃないんで!
追求しねえから気にすんな笑
いやだからほんと違うんです
ハハハ
フレッドさん、ひよことはどうなってるんです?
別に?変わりなく過ごしてるけど?
僕もこういう上級のしらばっくれ術を身に着けたい。きっと進展してるに違いないのに全然表情に出さない。
ひよこと話してるミシェルさんに
今日定時あがりです?
ええ
じゃあ今日からしましょうか
はい!
仕事終わったら図書館に集合しましょうか
はい。お願いします!
なにー?どうしたの?
ん?わからないとこ教えてもらうの。
そうなんだ?頑張ってね!
うん。
朝日が駐車場を照らしてる、キラキラチカチカした女のコは朝日にキラキラしてた。
あ、フレッドさん質問が。
なに?
女のコは朝から支度バッチリなもんなんですか?
…ひよこもそうだったらどんなにいいか
ちがうんですか?
朝は起きれないから何度も叩き起こすし、服は前の日にこっちが明日のスケジュールみてコーディネート決めてるし、メイクだってめっちゃテキトー。あいつ俺とアルベルトがいなかったら絶対遅刻してる
ひよこ…
…まあ仕方ない。仕事終わってから深夜まで勉強してるからな、あいつ
毎日?
ほぼ毎日。だな。
…
なんですか?
いや…がんばれよ
なんのことかわからないけど
はい、がんばります!と答えておいた。
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