記憶の欠片の物語10
アイツは自分の手帳開いて本を開いて床に座って何か猛烈な勢いで書付けしてる。
変なやつ
オレ勉強するから何か用事あったらあっちの部屋にいるから。
わかった。
他人が自分の家にいるのもなんか慣れてきた。
久しぶりに自室の机で調べものして課題している。
今迄これが普通だったのに。
なんか変な感じ
夜遅くリビングに寄ると帰ったとおもってたあいつがまだいたのに驚いた。
おい…帰らないのか?
え、今何時なの?
時計をみると22時まわってる。
もう遅いからうちにいれば?
あ、僕そこのソファで寝るから気にしないで
お、おう。
じゃまたまだオレ終わってないから。
じゃ
たぶんあいつ近いうちに下宿追い出される。
そんなような事が頭をよぎる。
あいつたぶん行くとこないぞ
部屋は余ってる。机とかがないだけで。
はあ?そこまでしてやらなくていいだろ…
その時になったら考えよう。
第一あいつ住まわせるならこの家の持ち主に一言断わりをいれないといけない。
この家の持ち主は当然だけど自分の父親
なるべくなら会いたくない相手
早く卒業して独立したい。
早く自分で稼ぎ出せるように今から準備しておかないと。偉そうにいったって所詮庇護されてるには変わりない。
やばい無駄な時間過ごした。明日までに提出だった。。
他人のあれこれに振り回されるのはゴメンだ。
自分の事で精一杯。人の世話焼いてる場合じゃない
あいつの身の振り方まで心配してやる義理はないんだから。
次の日の朝トマスが起こしにきてカーテンを開けながらリビングにお連れ様がソファで休んでらっしゃいましたのには心底驚かされました。メイドがびっくりしてトマスにいい付けにきたらしい。
ああ、うん調べものしに来てそのまま寝たらしい。
近いうちに彼は現在お住まいの下宿を引き払う羽目になるでしょうね。
おまえもそう思う?
はい。ぼっちゃまもそう思われますか?
面倒みる義理はないよな…トマスが淹れてくれた紅茶を飲みながら呟くと
そうですね。でもご学友の危機ですからねえ。
あいつがここに転がり込むのはもう不可抗力な気がする。。
…机とかすぐ手に入るもんなの?
既製品なら。ぼっちゃまのは注文して作りましたからお時間かかりましたよ。…一応準備しておきましょう。
トマスもオレもふたりして苦笑いした。
朝食の支度は2人分しておりますので。
なんかおれ変な拾いものしたのかも…
トマスは笑っていた。
それから1週間してテーラーから注文していた
タキシードや諸々が届いた。
注文したことすっかり忘れていた。
あ、これあいつに渡さないと。
次あった時でいいや。
珍しく晴れていて夕方ぶらぶらと散歩してお気に入りの公園にいった。ここのベンチに座ってぼんやりするただそれだけなんだけれど。
なんだよ先客がいるじゃないか。
ベンチにうなだれて座ってる。
手元にボストンバッグと袋に突っ込んできたような本がみえる。
あいつだった
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