「先生に任せます」

臨床倫理や緩和ケアを勉強(というほどでも無いですが)をし始めています。というより、毎日意識しながら診療に取り組んでいます。ナラティブもプラグマティズムもピンと来ませんが、もう長い間、患者を中心に、家族がいれば一緒に、そしてprimary nurseと、その他関係者でいつもカンファをします。

 例えば、70代男性、虚血性心疾患による心不全(低心機能EF 35%, Dd拡大)、直腸癌、局所再発、腹膜転移、仙骨浸潤、人工肛門、腫瘍圧迫により右腎瘻設置、直腸癌周術期に左DJカテーテル留置。

予後は半年だろうと、私でも想像がつく症例です。緩和医療、ケアが必要で、現状説明を外科医ではなく10年以上診察してきた(もともと、急性心筋梗塞による心原性ショックを治療し、直腸癌を4年前に見つけた)私がしたせいか、

「先生にお任せします」

と言われます。で、スタッフも、その瞬間、思考停止に陥ります。

「先生に診てもらいたいみたいですね」

違うのです。褒め言葉で言ってるのでしょうか?そうではなく、話し合いが必要なんですよ。本人の希望がどこか、私には言えない、家族の希望とかいろいろ拾って欲しいのです。私一人ではできません。退院させてやりたいが、本当にそれを家族は喜んでいるのかどうか、退院後は外来に来れるか、往診など、、、。最近、これを一人で考えていて、とても疲れます。

 話し合いが必要と聞きますが、他の施設ではどうでしょうか?本当に患者を取り巻くスタッフと、コミュニケーションできていますか?医師が言うのなら、で済んで無いでしょうか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?