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拍手と油と雨と飴 著 寺井門司

~これは、売れない元芸人によるハジケ物語だ~ 

誰も拍手をしてくれないとアフロのカツラを床にたたきつけて劇場を捨てた後輩のお笑い芸人…いや、笑えない芸人の「寺尾サンプル」こと寺井門司は、拍手の音と揚げ物をしているときの音が似ているだろうとポテトの美味しいハンバーガーチェーン店でバイトを始めた。   「天狗缶バッチ  しばたコロンボ」

ポテトを揚げさせてもらえないとフライヤーを床にたたきつけてバイトを辞めた後輩のバイト…いや、ヤバイトの寺井さんは、傘もささずに豪雨の中を走っていった。 「チェッキーズ  左中代店  匿名希望」

ボァァザァァァァ!!!!×止むまで 
ショッピングモールの3階からダッシュで歩いて出たオレは、心の中でこう叫んだ。

「おいおーい!ふざけんなよまじで!アルバイト初めて4日でこれかよ!傘も今から取りに行くとかダサすぎてできねぇし…マジでチェだぜ!」  

しかも雨ですら自分には拍手しない。滝みたいにすごい雨で感傷とか反省とかできないくらいだった。

「ハジケよう」

本当に口に出して言った。雨の音でかき消されたその声を自分の中で何度も繰り返し、ショッピングモール1階にあるアイス屋のパチパチ弾ける飴の入ったやつをトリプルで買った。

あそこで初ハジケをしたからこそ、今の自分がある。あの気合いがあったからこそ、皆様も知る僕のありがたい運命に至ったと思っている。

これは、地球が揺れるほど拍手されたあの日の中心人物による自伝であ~る!

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