王者、intelはどこまで凋落するのか?
さて、2024年もそろそろ9月の後半、猛暑も過ぎてやっと涼しくなりつつあるころだろうか。
相変わらず、半導体産業の動きが活発である。
その中でも目を見張るのが、ここ数年のintelの凋落ぶりである。
過去にはwin-tel連合としてMicroSoftのWindowsとガッチリ手を組み、1990年代のダウンサイジングの波に乗り、当時、大型、汎用機をメインビジネスにしていたIBMをwin-tel連合はその巨大さから氷河期の環境変化に対応できずに絶滅していった恐竜の様に例え、揶揄していた。
これからは我々の時代だと、IBMの大型、汎用機ビジネスに対するアンチテーゼのように振る舞っていた。
それから約30年経ち、intelは過去に無いほどの凋落ぶりである。どうした?王者、intel?
スポーツの世界でも、王者は追うより、追われること、王者であることを維持することのほうが難しいし、精神的にも厳しいと言われる。それはビジネスの世界でも同じで、業界のトップはいつまでもトプで居られるとは限らない。時代の流れ、変化と共に入れ替わっていく。
15%で15,000人以上って・・・さすが大企業
その凋落の最大の原因はその組織の巨大さ、巨大組織、故の官僚主義、判断ミス、そのリカバリの遅さ(小回りの効かなさ)であろう。
今や半導体産業は設計と製造は分業制が主流である。
AMDは設計のみで製造はTSMCに委託
nvidiaも設計のみで製造はTSMCに委託
armは設計情報のみライセンス販売
appleはCPUに限らず、ファブレスなのでTSMCに製造委託
TSMCは設計はせず、製造のみ
のように設計と製造が分業制になっている。その中で設計と製造の両方をやっているのがintelのみである。この高度化した半導体産業、設計と製造では全く別のノウハウの蓄積が要求される。もう、1社で設計と製造の両方をカバーするのは無理な段階に来ているのではないだろうか?設計と製造の両方をカバーするためには組織が巨大化してしまうのは避けられないのではないだろうか?
またOSとCPUの関係性でもintelに逆風が吹いている。
昔はOSとCPUは一体で、このOSはこのCPUでしか動かないということが多かった。しかし、Windowsで言えばWindows-NT以降、OSは複数CPUをサポートするのが常識となってきた。
今ではWindows11ではサポートされるCPUは減ってしまったが、NTの当時はx86 / x86_64 (Intel/AMD)、MIPS、Alpha、PowerPC、Itanium (IA-64)、これだけサポートしていた。
Linuxもx86 / x86_64 (Intel/AMD)、ARM / ARM64 (AArch64)、PowerPC (PPC)、RISC-V、MIPS、SPARC、Itanium (IA-64)(廃止予定)等、組み込み系を入れればもっとサポートしている
MacOSも同時には1種類のCPUしかサポートしていないが、過去にはPowerPCから、x86 / x86_64へ、そしてMシリーズへとCPUを乗り換えていった経緯がある。
もはや、OSは複数CPUアーキテクチャをサポートするのが常識であり、むしろ1種類のCPUアーキテクチャに依存することはそのCPUと運命を共にすることを意味する。複数CPUアーキテクチャのサポートはOSベンダにとってもリスク分散なのだ。
そう、そしてここに来て注目されているのがarmアーキテクチャのPCとarm版のWindowsである。intelアーキテクチャに比べ、電力効率がよい、発熱が少ない、省スペースなどのメリットはあるが、まだまだ、互換性の問題(x86版のバイナリをエミュレータで動かしている)、armネィティブアプリケーションが少ない等の問題はある。だが、それも時間と共に解決していくのではないか?
これは、何を意味するのか?一昔前まで、win-tel連合といわれていたそのお互いの蜜月関係が壊れていっていることを意味する。intelはこのarm版PC、arm版Windowsを見てどう思っているだろうか?亭主に浮気された女房のように腸煮えくり返っているだろうか?
OSを提供しているMSにしてみれば、元々OSは複数のCPUアーキテクチャに対応しているし、独占契約でなければどのCPU版のOSを販売しても何も咎められることはない。
世の中のPC用のOSで圧倒的なシェアを占めているWindowsにとってintel系(AMDも含む)チップは絶対条件ではなく、one-of-themになってしまたのだ。
こんな、逆風ばかり吹くintelであるが、この先どこまで凋落するのか?復活はあるのか?
1990年代のダウンサイジングの波が来たとき、その巨大さから氷河期の環境変化に対応できずに絶滅していった恐竜の様に例えられていたIBMも、大きな打撃を受け、ビジネス的に大きな戦略の変更を強いられたが、会社自体はなくなってはいない。そこは、やはり大企業の底力であろう。
おそらく、intelもどこかで立ち直ってくると予想される。大企業の底力を拝見と行こう。
100ワニをパクって退職エントリでバズろうとしたけど、全然バズらなかったワニ。 副業のオファーあればよろしくお願いします。 Twitterのフォローもよろしくおねがいします。@180wani