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オーブでアナスタシア観た!(ロシア小ネタ集)

シアターオーブでアナスタシア観劇した!!
本筋には全く関係ない小ネタを拾いました。面白がってくれる方はどうぞ。

前回(宙組アナスタシア)の雑念はこちら。こちらの内容はほぼかぶってるのでオーブで(梅芸版?日本初演版?)見て気付いたことをメインに。


※学生時代ロシア文学専攻だったのと、ペテルブルクに行ったこともあるのでそれをもとに、一応ざっと調べてから書いてはいますが、間違ってるところがあったらごめんなさい。ご指摘あればどうぞ。パリも行ってからまた観たいわね。


はじめに

もしかしたら前回のも今回のも誤解を生んでしまうかもしれないけど、批判とかじゃなくて純粋に、ブロードウェイにおけるロシアの表現面白いな〜と思って書いてます。
たとえばヴラドという愛称や、「ディマ?」と聞き返す場面、ロシア的に正しくはないけど、スラスラッと忠実にやったらブロードウェイのお客さんは分からないわけなので。
英語にも愛称というものあるんだろうけどロシアでは相手との関係によって明確に名前の呼び方が変わるのとか、ブロードウェイの人が「めっちゃいいじゃんそれ❣️アーニャには最後の最後にディマって呼ばせよ❣️」と思ったのならそれは素敵やん、みたいに思ってます。全体的に。
それに、ミュージカルアナスタシアの場合そういう改変に筋が通っている。明らかに調べ不足じゃんとか校正怠ってるじゃんとかそういうモヤりがないので、たとえロシア語やロシアの文化の知識があって  も(むしろあるからこそ)楽しく見られると、少なくとも私は思っています。歩み寄りだと分かるし、翻訳のそういう業(わざ)を敬愛しているので。
ロシア人が見てこれはだめだと思うなら……それは申し訳ない……わかんないけど……

ここからが本番~♪

・グレブの演説
イントロにかぶせてロシア語の演説が聞こえる。ブロードウェイの音源にもあったけど、宝塚版ではなかったと思う。「ナントカ…гражданин…ナントカナントカ」しか聞こえない。演台に思いっきりレーニンの絵の幕かけられてるからレーニンの演説なのかな……と思ってずっと調べてるけど今のところ分かっていません。分かる人教えてください。

・「バルトーク市場」
噂の途中でアーニャとグレブが出会う場面のあと、ディミトリがオルゴールを手に入れる市場
舞台の左の方にРынок Барток(バルトーク市場)と裏返しで書いてある。たぶん。もしかしたら途中で切れてるかもしれないので分からないし、バルトーク市場で調べても実在したかはよくわからなかったんだけど、アニメのアナスタシアでラスプーチンが連れてる使い魔みたいなやつそういえばバルトークって名前だった。実際それが元だとしたらネタが細かすぎる。

・グレブの事務室
書類棚が壁にバ〜っとあって、左から「А - Ж」「З - О」……、のアルファベット順になってた。Зはアラビア数字の3にしか見えないよとよく他学科の友達に言われたので、アルファベットの中に急に「3からゼロ」があるように見えるんじゃないかなと思った。「З(ゼー)からО(オー)」です。

・悪友(というか、かつてのムショ仲間……?)の溜まり場
Портной(仕立て屋)
レニングラードにあった仕立て屋を探すか……(聖地巡礼)

・パリに行くぞ! の場面
アーニャがダイヤモンドを渡してよし出国するぞ!となるところ。宝塚「1ルーブルも無駄にできないでしょ!」のところが「1銭も」だった。円どころか銭だった。コペイカ。

・ネヴァクラブの看板
ИЕVД CLUБ←おもしろい。たしかにパッと見NEVA CLUBに見える。無理やりラテン文字に翻字するとIEVD CLUBになります。ちゃんとロシア語で表記するならНЕВА КЛУБ 。

・皇太后のアーニャ呼び
名前や愛称のことは「ロシアをブロードウェイに輸入するとこうなるんだな〜」で前回書いた通り。ミュージカルの主人公がアーニャなのは、おそらく自称アナスタシアのアンナ・アンダーソンって人がいたのを踏まえての名付けだし、その人を最後まで擁護したグレブって人もいたらしいので、アナスタシア伝説にまつわるあれこれをうまいこと織り交ぜてるな〜と思った。
ただ、これ宝塚版では気付かなかった(多分台詞にない?)んだけど、アーニャの正体が分かって皇太后と2人で写真を撮りながら話してるとき、皇太后が「アーニャ」って呼びかけたのは「オッッそうなるのか!」と思った。アナスタシアの愛称はロシア語では「ナースチャ」なので。でもこれも、「ナースチャ」って呼んでも英語圏の人分からないだろうからこれが妥協点なのだと思う。

・映像に出てきた建物たち。ランドマーク盛り込んだなと思った。
エルミタージュ宮殿(現ロシアの三色旗でなくソ連の旗が掲げられているの初めて見た……衝撃……)
ユスポフ宮殿(住んでる)
旧海軍省、トロイツキー寺院(写真は下に。やればできるのとき左右の窓の外に見える。地理的にはそうはならんやろな位置に見えるけど、このふたつ映えるもんね。)

旧海軍省
トロイツキー寺院。丸屋根に星がかわいい。

血の上の救世主教会(ポスターは俺のペテルブルクで映る綺麗なやつ)

おわりに(これは完全な独り言)

まぁなんか面白がってばかりなのもあれなので……(面白がって終わりでもかまいません、ここまで長々読んでくださってありがとうございました)

長々と書きながら、これはロシアの歴史や街、文化にポジティブに興味もって作られた舞台だな~と思いました。今(2023年9月)の世界情勢でロシアというだけでタブー視されることなく日本で観られてよかったなと(ずっと観たかったので)思う反面、どういう気持ちで受け止めたらいいのか、という困惑も少なからずあった。
ロシアには3回行ったころがあり、うち2回は8、9月だったので、ちょっと涼しくなってくると毎年ロシアの空気を思い出すけど、コロナ始まってからとこの2年は特に「でももう行けないかもしれない」と思ってました。そんな中でのアナスタシア観劇だったのでいろいろと懐かしくもあり、情勢が重なって辛くもあり。。ミュージカルで故郷に別れを告げる場面があるところが一番悲しいんだけどいいなと思っていたので、ここに子どもがいたのが尚更つらかったな……そう思うと、演じる人の性別や年齢層の幅のリアルさもあって、こっちがより生々しくて宝塚のはより夢とおとぎ話風味が強いようにも感じられます。(宝塚にはレーニンの絵とか出てこないし……)
全然まとまらないけど、もしかしたらアナスタシアという作品も時代の流れで受け止められ方が変わっていくのかもしれない。今回どういう気持ちでこの作品を見たらよかったのか、正解はないし「コロナ初期で中止になった感動の舞台の再演」以上の意味はないのかもしれないけど、この時代にこんなことを考えながら観劇したということをここに残しておきます。

おわり