計画が作成できないときはOODAループを使え

『プロジェクトを成功に導く OODAループ入門』(鈴木道代 著)より

PDCAサイクルは、計画重視のマネジメントサイクルです。では、計画を作成することが困難な場合には、どのようにすればよいのでしょうか? 
ここで注目したいのが「OODAループ」です。

OODAループは、「Observe(観察)、Orient(方向づけ)、Decide(決定)、Act(行動)」という4つのステップで物事を進めます。序章でも述べましたが、OODAは、計画を作成することができないプロジェクトを進める場合には大変有効です。機動戦には欠かすことができない意思決定理論であり、先を読むことが難しい場合や、すぐ動くことが求められる場合にもOODAループが適しています。

ITプロジェクト等は、これまで、滝が流れるように工程を順に進めていくウォーターフォールモデルにてプロジェクトを進めてきました。「要件定義」「基本設計」「詳細設計」「プログラミング」「テスト」「移行」「運用」と、工程順に作業を行っていたのです。

ウォーターフォールモデルでは、それぞれの工程から逆に戻ることができません。そのため、各工程で行うべき作業についての計画が重要であり、作業に漏れがないように計画を作成します。また、次工程に進んでよいかどうかのレビュー作業に十分な時間をかける計画を作ります。
マンション建設プロジェクトにおいても、窓枠が完成し、窓ガラスを入れる段階で「窓枠とガラスのサイズが異なっていた」というような状況が発生することはまずありません。各工程において、綿密なチェック(レビュー)を行い、OKが出て初めて次の工程に進むことができるからです。

しかし昨今、ウォーターフォールモデルでプロジェクトを進めることができなくなってきました。設計が終了して製造工程に進んだ後にも、突然、状況が変化するようになり、それを無視することができなくなったからです。

・新しい要求が見つかる
・担当者が変わり、「本当に求めていることは違っていた」ということが判明する
・競合が新製品を開発したために、今の自社製品のままでは太刀打ちできない

などです。しかも、プロジェクト開始時に、その後の状況変化を予測することが全くできなくなりました。「ユーザーはこのような製品を欲しているはず」などのプロジェクト開始時の前提が大きく変わることが多々あるからです。
そのために「アジャイル開発」という手法を取り入れ、順次開発、順次リリース(納品)を行うようになっています。ところが、アジャイル開発でも対応することが難しくなってきました。次のような事象が増えたことによって、全く先を読むことができなくなってきたからです。

・自分たち自身の先が読めても競合の動きが読めず、途中で大きな方向転換を求められる
・意思決定すべき人たちに、その業務の経験がない
・現場から情報を上げ、上が意思決定し現場に指示するが、タイムロスが大きすぎる
・現場は具体的な情報を上げるが、意思決定すべき人が欲しい情報とは異なる

 このようなことが発生している場合には、計画を作成できない部分をOODAループにて進めていくという方策が考えられます。
 次回は、OODAループの4つのステップについて、一つ一つ詳しく見ていきましょう。

『プロジェクトを成功に導く OODAループ入門』(鈴木道代 著)



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