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日本人の底力

人間は本気になった時に真の実力が知れると言われる。

黒船が日本へ来航した時、当時の人々は得体の知れない大きな力に圧倒され、驚愕のあまりその場に立ち尽くしたことだろう。日本の文明開花の発端となる黒船来航は、日本の歴史において大きな時代の転換となった。

現代に生きる私は、この黒船来航以後とそれ以前までの時代の間にいつの間にか線引きをしてしまっている。日本史の教科書の構成も近・現代以降になると模様が異なり急に馴染みやすくなるからかも知れない。

西洋の産業技術や学問・思想、生活様式を取り入れ、正に文明を開花させていく日本人。このエネルギーに感服する。

さてこの強大なエネルギーはどこから湧いてきたのであろうか。

黒船来航以前の日本の学問や文化も世界に誇る大変高い水準にあったという。それだけ高い水準を備えながらも必死の思いで西洋を取り入れようとする日本人のパワー。

哲学者・評論家の長谷川美千子氏は著書の「からごころ」の中で、日本人は自分たちが学ぼうとしていることは南蛮夷狄の文物ではなく、「普遍的なもの」であると思い込ませることでなされたと述べられている。

人間には、軽蔑しながら学ぶ、などといふことの出来るものではない。蒸気機関車も二十八サンチ砲も、憲法も帝国議会も、すべて所詮は毛唐の発明した道具にすぎず、制度に過ぎないではないか、と、ひとたびさういふ風に見えてしまつたらば、もう、それを大真面目で学ばうといふことは不可能となる。
「からごころ」出版:中央公論新社 著者:長谷川美千子  P63 より引用

わずかの時間で西洋文化を自分たちの生活に取り入れられた日本人の力は、黒船来航以前から蓄積してきた高い水準の教養や文化の賜物なのだろう。

"本気になった時に真の実力が知れる"

日本の文明開花は冒頭に述べた言葉の良い例ではないだろうか。

そして私も同じ日本人として励まされる今日この頃である。

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