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2020/11/22 TakaO Me

友人に誘われたので高尾山に登った。去年は高尾山をよく訪れていて、今年も「次にKiRaReの新曲が出たら高尾山の頂上でまた聞こう」などと思っていたのだが、観光控え令になんとなく乗っかったり、観光推奨の令が出た頃には普段以上にアニメゲーム三昧になっていたり、そもそも楽曲がリリースされなかったので結果としてなんとなく足を運ぶことがなく、これが今年初の高尾山となる。木々は最高の紅葉直前という色づきだったが、ニアミスでも紅葉シーズン、更に三連休の中日ともなると大変混雑しており、高尾山の観光地としての人気っぷりを目の当たりにすることとなった。

とりあえず一号路を行きは登る。同行している人間全員大概が近頃運動不足だったもので、逆に気力がバテないようガンガン登って頂上にたどり着く。悪いというわけではなく違いとして、とにかく他者と観光するときと1人で観光する時のテンポ感って全く違うな、ということを思った。もっともこの混雑具合ではそもそものんびりと楽しむスタイルがやりにくいだろう、という山の様子で、賑やかなのも一興ではあるのだがこれもまた人気観光地の特徴だよな、などと感じる。運動にと歩くつもりではあったが、リフトなんて大変混雑しておりとてもではないが並んで乗ろうという気が起きなかった。
そういえば去年は人がいない紅葉シーズンの高尾山を何が何でも訪れたかったので、なんとか平日を狙って行ったなんてことを思い出してきた。

帰りは違うルートにしようと3号路を下りたのだが、11月ともなるとたとえ暖かくても日が落ちるのが案外早い。気持ち次第で暖かくしたり寒くしたりする気まぐれが極まった矮小な地球の気温などと違い、偉大なる恒星さんはもっとどっしりと構えているので、11月であればきっちり問答無用で午後五時にはまあまあ暗くなる。鬱蒼と生い茂る木々もまあたくましいので、最初は1号路とは違った閑散とした雰囲気による開放感を心地よく思ったものだが、次第にその足場の悪さに悩まされることとなった。
とにかく大量にいる1号路の人々とは違い、何の因果かこのような時間帯に3号路を選択してしまった人々をたまに見かけると、勝手に奇妙な仲間意識が芽生えることがある。相手もそういうところがあるのかもしれず、それなりに3号路を進んだ頃「この先まだ長いですかね?」などと見知らぬ方に話しかけられた。わたしたちもそこそこ進んできたつもりであったため「日も落ちてきたし引き返したほうが良い気がする」などという話をして、まあそういう流れであるので会話が発生するでもないが、なんとなく多少近くで共に下りていくことになった。更にしばらく進み、気がつけばライトなしでは本格的に怖さがあるような薄暗さになってきた頃、このまま降りるルートと1号路への接続への分岐が出てきた。それなりに悪路に疲れていたわたしたちは安全な道へと戻るかどうか迷ったが、まだ近くに居たすれ違った方が「自分はここを登ってきたがこちらのほうが早い」とこちらをかなり勧めていた。なんとなく半ばそれに押し切られるような形でそれではさっさと下山するか、とそちらを選択したのだが、まあなおのこと続く悪路と更に落ちていく日のダブルパンチで大変な苦労をしてしまった。冒頭の通り去年は高尾山を何度か訪れて1号路に関しては道の位置関係みたいなものもかなり把握していたのだが、外れた道では今どこを進んでいるか皆目健闘もつかない。暗いため普通に進んでいたつもりがうっかり外れていることもあり、どう考えても進めないような様子でなければ完全に迷っていたかもしれない。足元注意の立て札が恐怖を煽るとともに、ちゃんと管理化にある場所なのだという安心感を与えてくれる。周囲の様子がわからない森の中では、石か何かが転がったのか茂みが揺さぶられる音に野生動物かと怯える。運動不足の人間たちは普段使わぬ足腰を酷使しつつ、なんとかかんとか人里まで下りていったのだった。ちなみにすれ違った方ははぐれた人たちと合流したかなにかで気がついたら姿が消えていた。大人気コミックに「生殺与奪の権を他人に握らせるな」と自身の選択の大切さを説くセリフがあるらしいが、本当に人気コミックには人生において大切なことが書いてあるものだ、とつくづく実感したのだった。

ともあれ無事に下山できたので一安心。駅に隣接されている温泉に足を運ぶ。温泉も今日は整理券を配るほどの混雑っぷりで、このシーズンの高尾山の空気を改めて噛み締めた。
わたしは出不精とカラスの行水というキャラクター設定に基づき嫌いでないにしろ機会がなければあまり銭湯に足を運ばないのだが、同行者はアニメはあまり見なくなったが今はいたく銭湯フリークと化したそうで、湯では今日一番の饒舌ではないか、といわんばかりの銭湯マニア知識を拝聴することになった。何事も経験と知識で見えるものが違うのだなあと感じ入る。銭湯経験は浅いが気楽な健康への志向はまあまああるわたしとしては大変参考にさせてもらい、自らの健康な肉体を整えるべく普段やらないぐらいに湯や熱した石と向き合うこととした。

その後軽く飲酒をしてもそこまで酔っていたつもりではなかったのだが、しかし思いの外湯と疲労で思考が溶け切っていたのかもしれない。電車に乗れさえすれば安心とそこで思いっきり気を抜いたのが運の尽き、各駅停車の電車のスロウさを完全に見落としていたようで、気がついた頃には終電を逃してしまった。駅で見かけた「帰るなら京王電鉄!」という運賃案内の実際ありがたい広告を今だけは心より呪った。
帰宅が大好きなためあまり終電を逃したことはなく致命的なミスに反省したが、そうなってしまったものは仕方がない。行ける駅まで進み、友人の使うタクシーに完全に同乗させてもらい、文明の利器による移動をできる範囲で精一杯行う。Googleに徒歩1時間半との宣告を受けた地点からは、楽しい深夜の散歩をすることとなった。湯にてそれなりに回復していたため全く歩けない距離ではないし、開き直ってコンビニで菓子とアルコールを購入しながらふらふらと歩いて帰ったのだが、まあ体は正直なので家についた頃には著しく体力を消耗してしまった。当然の結果。そのまま就寝した。

ともかく無事に帰宅できたので良い休日だった。湯のおかげか脚も引き続きの棒にならずに済んでいるので良。


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