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2023/05/03 下級生2・アニメ

下級生2

下級生2を……見た!

前々から気になっていたDYNAMIC CHORD影山監督の(別名義を含めた)監督・シリ構作品。驚くぐらいストレートなDYNAMIC CHORD要素(順序としては逆だが)にところどころテンションが上がりつつ、一日で最後まで完走した。
いやー監督の個性が溢れていてめちゃくちゃよかった。ここぞ! というときに平気でセリフをゼロにすることも珍しくなく、ここまで語らなさを貫いているアニメも珍しいのではないか。この作品の大きなストーリーとして「幼馴染の浪馬とたまきが付き合う」ということがあるのだが、この結末として配置されているシーンが「風で吹き飛ばされたたまきの帽子をローマが受け取る」というだけのシーンなのである。これは繰り返し、たまきが過去の思い出として謎の少年シュンに帽子を受け取ってもらう回想が描かれていた(これ同様のヒロインからシュンに向けた初恋めいた回想シーンが山ほどある)故に、浪馬がその受け取るポジションになっていることが結末を雄弁に物語ることがわかるのだが、それにしたって語らなさすぎている。一方でそうした情緒的なキメのシーン以外では説明口調だったりと、割り切りがはっきりしている。元がアダルトゲームということもあってか、唐突なお色気シーンが入ったり急にコメディ方面に振ったりということも多く、そうした部分からはちぐはぐな印象を受ける人が出てきても仕方がないのでは、と思わされる部分もある。実際、自分も中盤あたりは掴みどころのなさに集中力を欠きそうになった。とはいえ、一話で唐突に登場したパンツを覗くシーンが、幼少期の恋心の芽生え(恋に"落ちる")シーンでクライマックスで登場するのは唸ってしまった。

想像でしかないが、謎の少年シュンの存在というのは「彼氏持ちヒロインのたまき」という設定と向き合った結果生まれたものではないかと思う。たまきと浪馬は幼馴染で、故に二人の恋人としての関係が始まらないことが作中にて語られている。故にたまきは浪馬を差し置いて他の男と最初付き合っているのだが、しかしアニメでこの彼氏は語られるのみで登場することがない。そんなたまきの「浪馬より先にはっきりと恋慕を意識した初恋」の対象として配置されているのが、シュンなのである。センセーショナルな恋を経て、近すぎるから気が付かなかった幼馴染を慕う気持ちに、12話かけたまきは気がつくのである。これは、他のヒロインとのエピソードを経てたまきへの恋心を自覚する浪馬も近い構図ではないかと思う。
謎が多く、あまりにも神秘的なシュンをたまきの恋心の対象として配置したことで、「彼氏持ち」という設定の持つ生々しさから遠ざかり、あやふやで幻想的ですらある恋心をこの作品は描いている。

姿かたちが変わらず、時の流れから取り残されたシュンというのは瑞々しい恋心の象徴的なアイコンなのではないかと思う。時代を超える彼そのものもそうだが、ヒロイン全員と何かしらの関わりがあるという自然さのまるでない設定には、逆に人工ぽさから離れ超常的/神秘的なものを感じさせる。時間の流れに呼応するような風見鶏の回転といい、作為的なものが妙なほどのパワフルさを持って描かれていたアニメだった。そしてそんなシュンが想起させる淡い思い出は、「潰れた村 / 朽ち果てた廃校」という、「失われたもの」に対する感情と結びつく。終盤、普通の人々と生きるテンポが違う不老不死? のシュンの哀愁が描かれているのだが、ここにあるのは廃墟を見たときに生じる、取り残されたかのような「失われたもの」への憐憫であろう。これは、DYNAMIC CHORDとも結びつく、影山監督らしい郷愁の表現だろうと思う。

アニメ

爆焔4,5、カミカツ5。飲酒をしに外に出ていたので遅い時間のアニメだけ。アニメくんさんと話すとマジでアニメをチェックできていない範囲は弱さだ……! となる。アニメの話ができてよかったです。

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