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2020/10/29 Tablet It Out

今日も労働先にタブレットを持ち込んで、この前の77円セールで購入したきららMAXのバックナンバーを読み進めていた。雑誌で漫画を隅から隅まで読み進めていくのもかなり久しぶりで、それこそ子供の頃に週刊少年ジャンプを購入していたこと以来かもしれない。都会に出てきてから漫画は自分の文化の中心ではなくなってしまっていて、そもそも触れるとしたら単行本ばかりになってしまうのだけれど、こうした雑誌で様々な作品が一堂に会しているというのにも不思議と雑多なことへの嬉しさがあるな、という感覚を久しぶりに思い出したりしていた。

雑誌のカラーというものこそあれど、掲載されている作品は当然様々な切り口の作品があって、それら一つ一つは本来ただ並べても絵を作らないはずなのだけれど、同じ雑誌に掲載されてるということで「本」になっている。互いに影響などもあるだろうが、しかし突き詰めるとそこには純粋に"同じ時代を生きた"という作品同士の縁だけがあって、それがなんだか妙に嬉しくなってしまう。漫画雑誌のバックナンバーはそれそのものが歴史の1ページであって、その歴史を垣間見られるというのに軽く興奮すると、そんな風な感じだろうか。
『ご注文はうさぎですか?』や『きんいろモザイク』といった看板クラスの有名作や『ぼっちざろっく!』のような新鋭の作品、他にも名前を聞いたことのある作品だったりここで初めて目にした作品も多い。最終回を迎えていたものも何作かあり、『サジちゃんの病み日記』のそれが明らかに異彩を放っていたり、『魔王城ツアーへようこそ』のそれがとても美しきタイトル回収をしていて心に残ったりした。こうしたところだけを見て感動を覚えるのは、例えばマラソンのゴールの瞬間だけを見て涙するような誠実さがない行為だとは思うので、しっかりと物語を見届けられるならそうしていきたいものではある。
歴史というと数年前に東京でやっていたきらら展を見に行った衝撃は今でも忘れられないぐらいあり、物理的に積み上げられた雑誌のあまりの"巨大さ"に思わず圧倒されたものだった。何も知らなかったわたしだが、そこに横たわる歴史の重みを目の当たりにし、胸が熱くなるのを感じた。あれからそれなりに時間が経ってしまったが、雑誌として好みに合うところも感じているし、どこかでわたしも目撃者になりたいと、そうは密かに思っていた。ご注文はうさぎですか?BLOOMでごちうさ熱が高まっている今こそ、それを原動力に「今」に追いつきたいものである。

この歴史だとか時代性、みたいなもので言うとわたしが「今期アニメ」という括りをそれなりに大切にしたがっているのにも、通じるものがあるのだろう。ここから純粋に社会の流行だとか関心の移り変わりだとかを雑に論じるのはナンセンスであり、アニメ・社会双方にそれ相応のデータや精査なくしてやれるものではないと思うので一介のアニメ・インターネット・モタクのわたしはそういう方向で時代を見出そうとしているのではない。ただ単にこの年にこういうアニメがあって、そこで何が世間的に流行して、何が近い範囲で流行して、そしてわたしがどうであったか……と、そういう"記憶"が紡がれていくことに、何やら嬉しさを感じているのだ。数年後に「2020年の秋クール、本当に凄まじかったよな」と、そう言える当事者でいられることに、ただワクワクしているのではないだろうか。

今日見たアニメ。『アサルトリリィBOUQUET』#5、夢結様が梨瑠のためにラムネ購入を頑張る回。舞台では夢結様との歩み寄りは一つの山場で、そこを3話で山場には違いなくともすぐに終わったな、という気持ちはあったのだけれど、メディアミックス的な展開で多角的に違う物語をやっていくぞ、ということなのかもしれない。今回の誕生日エピソードは変化に戸惑う夢結様の心境がコメディタッチながらも丁寧に描かれていて非常に良かった。笑顔で施すことができるの、この"今"だからなんだよな。一方でもう一つの山場であった鶴紗ちゃん絡みが完全にスルーされているのも思い切ったなという感じ。今後彼女が持つ物語性みたいなものは流石に回収されていくとは思うのだが、どうなるだろう。
『安達としまむら』#4、百合アワーとして名を馳せた1時間、奇しくもここでも自販機からの炭酸飲料が物語に絡んでくる。これこそ今期アニメの"縁"というやつか。丁寧なアニメなのだけれど、アニメチックなデフォルメの絵に振るわけでもなく、ただ繊細で写実的かというとなかなか派手で、悪い言い方をしてしまうと少しどっちつかずな気がしてしまう。作品としては繊細なタイプかなと思っていたのだが、まだアニメの姿がうまく見えていないかな、というのはありそう。淡々とした日常の中での微妙な変化を出していく構成っぽいので、まだわたしが何もわかっていないといえばそうかもしれないな。

歴史の証人になるために、見ていくぞ、今期アニメと過去作品。


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