Broken Revisited
全てが裏目に出て 何もかもうまくいきゃしない
何度も打ちひしがれ
ようやく今ここに 絶望の淵に立ち
自分という存在がすっとこの世から消えてしまえば
どんなに楽だろう
子どもの声が聞こえる
何と言ってるのか気にもならなかったけど
そのうち大きくなって
やがて はっきり聞き取れるようになってた
こわれるよ
繰り返し聞こえてくる
癇癪を起こしたような声で
やがてテープ早回しのように ぐるぐる廻り始めた
こわれる
ヒステリックに叫び声を上げる
眼をしばたたかせ
こわれる
こわれる
声が聞こえる
こわれる
こわれる
金切り声が聞こえる
こわれる
嗚咽が聞こえる
こわれるこわれるこわれるこわれる
何度しゃくり上げても声は止まらない
こわれる
狂ったサックスのような声が聞こえる
こわれるこわれる
今度は逆回しのような声
死ねばいい
こわれる死ねばいいこわれる
死ねばいいこわれたんだから
こわれたんだから
キッチンで包丁を掴み
声の赴くまま手首を
死ねばいい
こわれる
死ねばいい
こわれる
薄っすらと滲んだ血は動脈ではなく毛細血管の
こわれた
声は止まない
よりによって切れ味の悪い包丁を選んだ自分を呪う
気が滅入りながらも 今度はしくじらないように
一番鋭利なカミソリを手に
いつか読んだ小説のように
うなじから頸にかけて一気に引くと痛みも感じない
首の辺りが生暖かくなってきて
声がだんだん聞こえなくな…
目を開けると壁が目に入った
手足の自由が利かないことに気がつく
息はできるけど口に違和感
壁だと思ったのは天井だった
ここが何処で今、何時で、朝なのか夜なのか
どれだけの時間が経ち
もしかしたら何日か
全くわからない
そもそも生きてるのかさえも
あの声
あの声さえ聞こえれば生きてる証なはずだ
こわれるものが無いのだったら
自分はもうこの世には居ないってことだから
でもそんなのどうでもいい
聞こえてるのは
ブーンという低い振動音
止まない振動音
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?