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ハンガリーの冷たい風 - Hidegen Fújnak A Szelek -

Prisoner's Song (The Light Does Not Appear)という絶望的なタイトルの
アルバムに収録されている「Cold Winds are Blowing」(原題「Hidegen Fújnak A Szelek」)を初めて聴いたのは10年前、MUZSIKASのmy spaceだった。
たたみ掛けるようなヴァイオリンとヴォーカルが肌を突き刺し、容赦なく胸ぐらにいくつもの擦過傷を残していった。
聴き終わった後、しばらく動けなかった。

冷たく、乾ききった猛烈な風が吹き抜けていった後のように。

ワールドミュージック全盛の頃、1987年のアルバムは良く聴いた。
ケルト民謡一辺倒だった当時、マジャール民謡の世界を彼女は教えてくれた。
いったいこの人は いくつの国や地域の唄を唄ってきたのだろう。

それまでのMarta Sebestyenの印象は、少女を思わせるように甘く可憐な唄声が持ち味だと思っていたのに。
「Cold Winds are Blowing」には見事にひっくり返された。

とにかく畳み掛けるようなヴォーカルとMUZSIKASとの掛け合いがとてもスリリング「Cold Winds are Blowing」が傑出しているアルバムには違いないけど、ほかにも興味深い曲はある。
「Outlow's Song - Turn, My Dear Horse-」(Bujdosódal - Fordulj Kedves Lovam)も心に沁みわたる。
「Fly Bird, Fly」(Repülj Madár, Repülj)は、ちょっと切ない。
「Love, Love」(Szerelem, Szerelem)は このアルバムで唯一の独唱。
「I am Only Wondering」(Én Csak Azt Csodálom)はブルーズにも通じる音調で、なかなか面白い。全曲マジャール民謡。

1986年MUZSIKAS名義の本作、昔は日本盤CDも出てて「ハンガリー・フォーク・シリーズ」カタログNo.LT-5「プリズナーズ・ソング」。

その後2007年に「世界の女神たち」シリーズとしてもリリースされた。

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「初めて彼らの名を西側に知らしめ」ゆうくだりの解説が時代を感じる。

当時は西側と東側という世界が存在していたんだっけ。


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いい写真


現在は輸入盤で入手可能。

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ハンガリー原盤はこんな感じ


持ってるのはUS盤

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裏ジャケットがまた良いのだ

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