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DARE / THE HUMAN LEAGUE

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           ・・・EDMの原点・・・

今でこそ珍しくも何ともない電子音楽やドラムレス、ギターレスなんてのは
当時は勿論あったんだけど表舞台に出てきた中で一番の出世頭がこの作品。

シェフィールドと言えばCABARET VOLTAREを輩出した工業都市で、
彼らも御多聞にもれずアングラでインダストリアル電子音楽にいそしんでいた。映像担当のメンバーもいた。

晴れてデビューすることになり、その後たまたまデヴッド・ボウィの目に留まったり
数枚のシングルと2枚のアルバムをリリースしたけれど方向性の違いでグループは分裂。
まったく10CCのような話だ。

分裂したメンバーはB.E.F.というユニットを設立。
ヤク漬けで燻ってたティナ・ターナーを浚渫したのはB.E.F.がきっかけだったことはあまり知られてない。

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ソウルに根差したダンスミュージックを得意とするHEAVEN 17をメインに活動を続ける。


残ったメンバーがグループ名を踏襲。
当時女子高生だった二人をヴォーカルそしてメンバーに加え再出発。
彼らには歌唱力とか、そんなものは無用の長物だったから。

「Boys and Girls」の反響は思わしくなかったが、
2枚目のシングルから徐々に売れ始め、あとはご存じの通り。
全英・全米を制覇した“カクテル・バー”の唄だ。
断然Joanne派で。

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メンバーチェンジ後の彼らのシングルには左上にRED、BLUEなど表記されるのがお約束だったが、アルバムではDAREと表記。
(国によってはDARE!と表記)
直訳すれば、敢えて、大胆にもという意味。
タイトルが気に入ったから高校の卒業文集のタイトルにそのまま拝借した。
!付の方で。
卒業文集にホロコーストのことを書くヒネた奴だった。


このアルバムを聴くまでその存在すら知らなかったファッション音痴。
ジャケットはヴォーグ誌の表紙デザインをパクってるとのこと。
へーってなもんだった当時。

UK盤は見開きだけど日本盤はシングルジャケット。
これは見開きだから意味があるのであって何とも無粋な日本盤だ。
今回は、その無粋なジャケットを掲載しました。


これオリジナルの

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内容は全曲シングルでOK。みたいな。
実際4曲がシングルになった。80年代あるある。

但し。エレクトリック・アバと揶揄されていたほどには
そんなに全曲に渡ってノリノリってわけじゃないってことは、まぁ聴けば判る。まだ、分裂前のインダストリアルで暗い音を引きずってるのだから。


1. 「The Things That Dreams Are Made Of」
血が騒ぐねぇこの打ち込みオープニング。
ドラムスがないのにこれだけドラムの音が印象に残るなんてね。
それといかにも、なスロートヴォイス唱法。

2. 「Open Your Heart」
アルバムん中で一番好き。
当時根暗な(死語、、、)高校生だった僕を励ましてくれた。やれやれ。

3. 「The Sound of the Crowd」
マイナーなダンスチューン。
こいつと、5曲目「Do or Die」は現代のEDMのクールな部分のルーツとも言える。

4. 「Darkness」
んー、これは怪しい。分裂前の音源を使ってる疑惑あり。

それはB面に移っても
6.「Get Carter」「I Am the Law」と続く。
特に「I Am the Law」は、顕著だ。
そして間髪入れず
7.「Seconds」へ。オープニングもかっこいいが、
エンディングにウルトラセブンで使われる効果音が登場する。
絶対見てるよな、と思った。
とにかくこのビートやファーーンって入ってくるシンセとかがカッコイイ。
言っちゃえば「Open Your Heart」のビートと同じなんだけど。


8.「Love Action」
この詞。
アイドルとかが自分のことを自分の名前で呼ぶのはあるけど
こいつ(Phil Oakey)は自分で自分のことをPhilとぬかしておる。
ラップが有るけどめげずにカラオケで唄っとります。

9.「Don't You Want Me」
説明不要だろうけど一つだけ。
PVは編集されて短いテイク。いじょ。


当時の洋楽番組でPVは「Don' You Want Me」しか見ることができなかった。
後年、PV集で他のシングルを見ることができて感激した。
DVDに当時のライヴや1981年TopOfThePopsの映像が収録されているのだが、
ま、女子高生が二人いるグループには見えんなぁ
それ見るだけでも価値あり。

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12インチシングル全盛期だったので、収録されているシングルは全て揃えた。

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1枚の値段がアメリカ盤LPより高かった時代。それほど彼らの12インチが好きだった。それでも、とうとう「Boys and Girls」のシングルは入手できていない。

ちなみに「Boys and Girls」はB面の「Tom Baker」ともに今ではCDで音源が聴けるけど「Tom Baker」は明らかに初期の流れを組む作品だということがわかる。これだけ浮いてる。デザインは分裂前のロゴとか踏襲してるから整合性ないし7インチだけなんでね。
「Boys and Girls」も初期の末期(ややこしいな)のようなサウンドで本作品に収録されなかったのも頷ける。


12インチで違う曲を繋げるメガミックスとか、
アルバムまるごとリミックス集(正確にはインスト集の「LOVE AND DANCING」)を出したのも彼らがはしりではないだろうか。
その後、SOFT CELL、T.F.F.、PROPAGANDA、BRONSKI BEAT,etc.と続く。
あ、もしかしたらSOFT CELLの方が先だったかも。

THE LEAGUE UNLIMITED ORCHESTRA名義の

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Joanneがセンター張ってる



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後日談。
その後、勢いづいて出したシングルは2枚とも売れたまでは順風満帆。
次のアルバム「Hysteria」(1984年)で成功者が陥りがちなパターンを見事に踏襲し失敗。カルチャークラブが日本語で「センソウハンタイ」と歌ってたのもこの頃だっけ

反戦の「The Lebannon」や、核戦争後を描いた「Life on Your Own」や、「Louise」も、そこそこ。
好きだったんだけどもう限界かなとも思った。

特に「The Lebannon」はベースのリフやPVがめちゃかっこいいんだけど明らかにU2とかを意識してて、ヒューマンリーグがやらなくてもいいよね、みたいな

トレードマークのワンレンを切りメイクせず髭面のPhil Oakeyに失望の念は拭えなかった

路線変更し「Human」が全米でNo.1になった以降はすっかり見放していた。

最近のリバイバルブームでツアーや来日もしたけど
せめてライヴハウスでやってほしかった。

食事を摂りながら見るもんじゃないだろヒューマンリーグ


異質、異形な個性が魅力だった頃のヒューマンリーグは、もういない


バイオ本。

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1,200円ぐらいだったかなぁ。勿論Joanne目当てで。


それと

1985年ぐらいだったと思うが、新聞に「シンセサイザー講座」という記事が連載された。
執筆は大好きな岩崎工(TAKUMI)で、48回目で本作が紹介されている。

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1977年前後、Clock DVAらとつるんだりしてた頃のがおすすめす

ここから元ネタを探るのも一興かと

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