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John Cage 4'33'' Vs Tincyの4分33秒 --- 雨水の記憶

「4分33秒」はピアノ曲だと思っていたら、フル・オーケストラ版もあり、
調べたら楽器の指定はないとのことだ。さらに演奏時間の指示もない。

2004年the BBC Symphony Orchestraによる演奏では、
第一楽章では固唾を呑んでいた聴衆が第二楽章ではざわめきだし、咳払いの連鎖。
聴こえてくるのはPCのファンの音か虫の鳴き声かバイクのエグゾーストか足音か。
全ては聴き手の自由だ。


Tincyに辿り着いたきっかけは、大山百合香のアルバム「わたしのすきなうた~唱歌集~」(2010年)

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ボーナストラックとして収録されている「ちんぬくじゅうしぃ」を調べててカバーの動画を何本か見てたらそのうちの1本

琉球 アイドル テクノ ここまでは、ああそうですか。

それで終わらなかった最大の理由が
「4分33秒」のカヴァーの動画がUPされてること

ジョンケージどころか


スティーヴ・ライヒの「雨が降るぞ」


ジョン・レノン&オノ・ヨーコ「ジョンとヨーコ」


とゆー現代音楽3連発


だがしかし、ケージやライヒをカヴァーしてるんには肝抜かされた。

なにやつ、、、

5月のことだった

7月になり、セカンドCD「ノストラダムスなんて知らない!」のリリースが告知された

されたのはそれだけじゃなく「4分33秒」のカバーが収録されること

目を疑った

ジョン・ケージの代表曲として様々なジャンルでカバーされてるのは確かで

ロック畑ではフランクザッパなど

動画を探すとデスメタルバンドとか、色々でてくる

それに琉球テクノアイドルTincyが加わったのだ

しかも動画だけでなく正式にCDのトラックに収録される


やがて東京でのリリースイベント発表

正直ほんの少し期待した

ライブで演奏してくれるんじゃないかと

でも過度に期待しないと抑えてた

「4分33秒」のTeeを2種類そろえた

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リリースイベントにはこれ着て臨むのだ

それでいい


ところがリリースイベント最終日の前日に

翌日、新宿duesにてリリース記念LIVEでニューシングル収録全曲やる予定だと知る
、、、ってことはまさか 「4分33秒」をやるということ?有り得ん! 
ジョンケージ没後24年にして琉球テクノアイドルが4分33秒をパフォーマンスする

それはあまりにも現実離れした感覚だった

そして迎えた当日


あれだけ待ち望んでた4分33秒

まさか1曲目だとは、、、不意討ち喰らった

いつものようにオープニング「Tincyのテーマ」が流れ
定位置に着き
そして「Tincy ~天の水~」のイントロが流れ

てこない

直立不動の3人

しまった

始まってた

何度も聴いてはずなのに
何が起こってるか認識できず
気付いたら血の気が引き、それからずっと鳥肌

動画のように無表情で通すつもりだったのだろうが

さすがに大変らしく

照明が逆光になりほっとしたかも

自分だって
演奏中は微動だにしないと決めてたけど
途中でカメラのシャッターを切ったりした

でもそれ以外は対峙した

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シャッター音と咳払いに紛れ後半に流れてくる水流の効果音は
ドイツのNEU!やLa Düsseldorfを彷彿とさせるもの

動画、CDと同じ音源をオケに使ってるかも

って そもそも「4分33秒」のカラオケって何



4分33秒の演奏終了時間がやってきて

それぞれの4分33秒の時空間を過ごした後

いつものようにイントロが流れ
満面の笑みで「Tincy ~天の水~」

確実に何かが変わった

それは何
なんだと明確には説明できないけど



沖縄の中部に位置する読谷村の長浜にある宿に滞在していた時

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隣の恩納村にあるビーチバーで陽が沈むのを見ながらオリオン生が日課。

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宿に戻りテラスに椅子を出して

主人たちと、
シマー(泡盛)とユンタクーが続く

夜も更けるころになると

部屋に入りましょう

と主人が促す

不思議に思うと


もうすぐ雨が降るんですよ

でもすぐやみますけどね

え?


こんなに綺麗な夜空なのに


しばらくすると


サーっと雨が降り出した、本当に


そして、言った通りにやんだ


テラスに出て辺りを見回すと

雨が上がった後は空気も澄んで温度も下がる。

まるで火照った身体にシャワーを浴びるみたいに。

自浄作用というか。

昼間の暑さが蓄熱された大地を
やさしく雨水が冷ましていく

何だか自然の息づかいを感じるようだ


これほぼ例外なく毎晩起こる現象。


だから熱帯夜だったかもしれないけど

東京の熱帯夜とは比べ物にならないほど過ごしやすい


土も緑も覆われてしまっては
入道雲さえできにくい。


通り雨もなく、室外機からの熱風で温度は上がるばかりの都会。

これじゃ街自体が熱中症にかかったのも同然。

雨はまさに天からの恵み


Tincyを知る10年以上前の話だ

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Tincyが去った後、東京には珍しくスコール

きっと連れて来たのだろう


2016年7月31日おそらくduesで初めて「4分33秒」が演奏された日


その翌年、シングル「沖縄警察24時」のカップリングで

ライヒのIt's gonna rainが「It's gonnna rain for Tincy」というタイトルで収録された

17分半の元ネタに同じくライヒのPiano Phaseのよなアプローチ

いっこのれいん

いつ?このれいん

いつかのれいん

いつごのれいん






さらにその翌年

メンバーSayaが「沖縄電子少女彩」名義で活躍するなか

再びこの曲を



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