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認められない理由 広告宣伝費

こんにちは

セカンドオピニオン税理士の宮崎貴美子です。

2024年はどんな目標を立てていますか?
その目標を叶えるための手段の1つとして広告があげられます。

広告の効果は会社の成長・存続に大きな影響力を与えますが、WEB広告等、広告の種類も多種多様化し、何をどう活用すれば、効果的なのか悩みます。
専門的な知識も必要になるでしょうし、当然、先行投資として費用もかさむことになるでしょう。

税務上は、不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図した費用は、広告宣伝費として認められていますが、契約期間や広告の効果の続く期間によっては、資産に計上すべきものもありますし、寄附金や接待交際費であると認定される場合があります。利益調整のために支払われたものでなはいかという目で調査される場合もあります。

調査官が「認められません」という事実を把握した場合は
本税だけではなく、加算税、延滞税を追徴されることになります。
払わなくてよい税金を負担するリスクを減らすために「認められない理由」について解説しています。

そもそも広告宣伝費とは、購買意欲を刺激する目的で商品等の良廉性を広く不特定多数の者に訴えるための費用をいい(東京高裁昭和39年11月25日判決・訟務月報11巻3号444頁)、

費用として認められるためには、「その支出の対価として提供された役務が、客観的にみて、その受け手である不特定多数の者に対し当該法人の事業活動の存在又は当該法人の商品、サービス等の優越性を訴える宣伝的効果を意図して行われたものであると認められることが必要である(東京地裁平成24年1月31日判決(税務訴訟資料 第262号-18(順号11868))としています。

そのためには、法人がその事業の遂行上これを支出することに経済取引として是認することができる合理的理由があり、客観的にみて当該法人の事業に直接関連して支出された事業の遂行上必要なものである必要があります。

例えば、A国政府に寄贈する学校の建設費用を広告宣伝費として、税務上損金算入の処理が認められる、とされたものがあります(国税庁HP 文書回答事例 A国政府に寄贈する学校の建設費用を広告宣伝費として取扱うことの確認(照会))。

一見、広告宣伝費として認められないのでは?と思いますが、広告宣伝費の要件がわかりやすいので紹介します。

「当社は○○商品の訪問販売を行っております。
 今回、当社がA国に学校を寄贈する目的は、当社の名称を幅広く不特定多数の方に知ってもらい、訪問販売時における会社のイメージアップを図り、受注増加につなげていくことにあります。
 当社がA国に学校を寄贈することで、新聞各社のメディアに幅広く取り上げられ、広く一般消費者に広告宣伝されることが事前に予定されています。この寄贈に係る支出金額は、間接的に、不特定多数の者に対する宣伝効果を意図しているものです。以上より、本件に係る支出金は、法人税法第37条第7項括弧書き「広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものを除く。」により、寄附金の範囲から除外される広告宣伝の費用として、税務上損金算入の処理が認められると考えます。」

つまり、次の3つの要件の全てが満たされることで、広告宣伝費として認められました。
①     不特定多数の者に対するものであること
②     合理的な理由があること
③     事業に直接関連して支出された事業の遂行上必要なものであること

判例では、販売代理店を海外旅行へ招待するための費用は広告宣伝費ではなく交際費に該当するとされた事例や、関連法人が負担すべき宣伝広告費を負担していたことは寄附金に該当するとされた事例などがありますが、いずれも、広告宣伝費の要件が事実認定から認められないと判断されたものです。

その他に調査で確認されることは、債務の確定したのはいつ?という点です。

法人税基本通達2-2-12(債務の確定の判定)では、次の3つの要件全てに該当した場合としています。
(1) 当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が成立していること。
(2) 当該事業年度終了の日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
(3) 当該事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものであること。

法人税法では、発生主義と費用収益の原則により、企業の恣意的な判断を排除し、所得の金額の計算の明確及び課税の公平を確保しているので、原則的に引当金や見越費用を認めていません。

債務が確定した日は、新聞に掲載された日、テレビCMが流れる期間であり、「広告宣伝された日」を契約書等で確認し、契約期間が決算期をまたぐ場合には、今期中の月数分だけが費用として認められます。リスティング 広告費用の場合は、クリックされた分だけが経費になります。クリック広告費用の未使用分は前払費用となります。

その他にも、特約店等に設置する看板や陳列棚、自働車、展示用モデルハウスのように見本としての性格を併せ有するものは、効果が何年にも及ぶものもあり、繰延資産に該当するものがあります。

カタログ、ポスター、テッシュペーパー等の広告宣伝費印刷物については、期末現在未使用のものは、実施棚卸を行い、貯蔵品に計上すべきです。

また、広告宣伝費等に係る割戻し(本件リベート)がある場合などもあり、調査官としては色々な角度から、事実認定し、証拠書類と照合し、正しい申告になっているかを確認していくことになります。

調査官が「認められません」という事実を把握した場合は
本税だけではなく、加算税、延滞税を追徴されることになります。

法律は知っている人の味方です。
「認められる場合」を知ることは大切なことです。
「認められないかもしれない」というリスクを減らすことは、払わなくてもよい無駄な税金を払うリスクを減らすことになります。

調査官が「認められない」と言うリスクを減らしたい、対策したい、安心したい方は、個別にご相談ください。

また、現在、「しなやかな心とお金の関係性を味方につけながらチャレンジするためのベースをつくる講座」の説明会を実施しております。

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