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胎児の夢、─軟質な死、及び硬質な死─

《胎児の夢、黄金の胎児 ヒラニア・ガルパと水蛭子の視る、正夢の創造史、反復説の取り成した垢、自の繁栄と他の蹂躙と名付けられた玉座に居すると勘違いした破滅の連鎖、生きている「もの」を知る前にそれらを流し込まれれば、恐ろしいと思えるのか、不可視の泡のそれぞれが一つの宇宙の雛形を成型する》




─軟質な死─
それ即ち生かす(活かす)為の死、古い層を押し上げ、新しい雛の魂を宿した糧の、模範となるもの、いつしか己が剥がされても、全体に氾濫もせず乱れも許さず、従順な脱落が決まるもの。入れ替わりの魔術、新鮮な空気を灼き付けながら、煮えたぎり融ける金属の、一時的な流動形。
絶対的滅びの舌をちらつかせ、虚無直下型の喉元をもつ、尾喰らい蛇ウロボロスから逃げ切るための、単殖性蜥蜴の尻尾切り。



​─硬質な死─
世界からの独立心から、ひびえ固まる金属を白金の神槌で叩けば、あかごの眼には写る、微動士制御特製を持つ、塵に戻る。
それから始まる物質的価値の喪失、破滅への早弾きの一筋、「全ての形有る無しにかかわらず、存在するものの否定」
溶ける太陽からの翠の泪を、唯一見届けるもの、いずれ立ち上がる弥勒菩薩の膝に、こびりついている苔垢。無というものさえ殺す牙、全てに立ち込める黄昏を知らせる角笛。




人の体、という名の「小さい宇宙」を支えるために、世界があり、世界の支柱を生やす土壌として宇宙がある。
総ては、何かをめたらやたらに栄えさせ、宿主らに無意識に働かせ、その膨大なエネルギーを吸って、自らが繁栄する。
背景と主を同化して、「動きの場」を提供する。
恐らくは無限に宇宙か、その言葉を支える、より大きなものの、概念が、無限に広がってゆく。
そして、その無限ささえも「在る」ために肯定する、途方もなく広がるものとは、一体何……?
入れ子構造の卵の殻を開けるのは、神と名のつくもの以外、許されない行為。

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