Coquelicot・Bomb

雛罌粟が風に揺れる音に似た、さざめき。
今日も彼女達の噂話はやむ事がありません。
ぎゅる、ぎゅる、ぎょろり。
まぁ素敵なお靴ですこと！
ありがたう、この前買ったばかりですのよ。
とても似合うわ、どこで売ってたの……
互いに首がぶつかり合う程、「罌粟達」は、大袈裟な事がマナーであるが如く、嗤います。
靴を買ったという花がいなくなると、周りの花はすぐ様話題を変えました。
どうせあの優男に買ってもらったんでしょう。
ふん、太った足にバンドが食いこんで、まるでボンレスハムみたい……、豚足ね……豚の脚だってもう少しエレガントよ、私もこの前にお父様に標本を買って貰ったもの、白い骨組みだけになると、死神の踊り子のバレエシューズのようだったわ。相変わらず悪趣味ね。豚が靴を履いてる方が悪趣味よ。きゃはははは、くすくすくす……。
ぎゅる、ぎゅる、ぎょろり。
今日も、話題の種を、憐れな獲物を見つけます。咲くは罌粟の徒花、蘂無し華の代わりに、物事をさかしまに見る眼玉があります。それから穣るは、芥子坊主。けれどもただの、子房果にあらず、それは、辺り一面を焼け野原にする恐ろしい爆弾です……。
彼女達の気紛れに、いつピンが引き抜かれるか、知れないのです。