4月10日

どうやったって結局は好きな人って、誰にでもいるんだと思う。それがわたしにとってあの男だったっていうだけの話だ。

あの時、私は少しだけイライラしていた。どうしてだか分からないけれど早く帰りたかった。
少しすると彼はやってきて、すぐに大勢の仲間の輪に入った。
ある女の人、きっと彼と同じくらいの歳だろうか、仲よさげにハイタッチしている光景から、私は目を離せなかった。

「私はこういうのを見たくなかったから早く帰りたかったんだ」と、その時に気づいた。そして絶望した。やはりこの男のことが好きなのだと気付かされたから。絶対に好きだなんて思ってやらないつもりだったのに。

悔しいけれど、その日から毎日あの男のことを考えては耳が熱くなり、恋をしているということにハッとする。
きっと、彼はそんな私を知らないのだろうなと、私は思うのだ。

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