輪廻の呪后:~第一幕~はじまりの幻夢 Chapter.5
エレン・アルターナが見る幻夢は、日々鮮烈になっていった。
素足に伝わる石廊の冷たさ。
足裏が離れれば血は仄かな温もりに巡り、踏み出せば硬い冷感が心地好い。その繰り返しに視界は進む。
壁掛けの松明は踊る炎に石壁を暖色に染め照らし、流るる視界は闇暦の帷に建ち並ぶ影画を通過させる。
交錯する景色は不自然な体感を植え付けながらも、さりとも自然体な認識に受け入れさせた。
はたして、どちらを歩んでいる?
古代か?
闇暦か?
わからない。
ともかく歴史に積み重なる角石達