『エチカ』かんそーぶん6【倫理について】
はあ、ここまででやたらと説明をたくさん書いたので私自身も割と混乱している。
残念ながら私にとってこの媒体はめちゃめちゃ外部だ。
まあそれは置いておいて、急いでまとめに移ろう。
結局、『エチカ』でスピノザが説きたかったことは、
「倫理というものは、神に対する妥当な認識から生まれる」
と言うことだったのだと私は思う。
あ、突然倫理とか言ってごめん。ここまで、我々がどう行動するかを述べてきたので、それを倫理に言い換えたいと思う。ごめんね。
そもそも倫理という言葉は様々なものに対して使われる。
中でも、一般に「自然」や「他者」と呼ばれるものに対して使われることが多いだろう。
しかしながら、我々は自然と共生などしておらず、自然の中に溶け込んでいるということをスピノザは教える。
そしてその自然とはすべてひっくるめて神そのものなのだということも。
そうしたことを前提に倫理について思惟するなら、それは
「自分対事物という二項対立式に考えたときにどう向き合うか」
という問題ではなく、
「自分がある秩序の内にいると考えたとき、どう振舞うか」
という問題になるのではないだろうか。
それは一見、従来の倫理と変わらないように思われるが、そうでもない。
我々が全体を意識するなら、「あっちを立てればこっちが立たず」みたいな倫理が偽であることがわかるのだ。
例えどちらか一方を選べという事態になったときでも、条件だけを見比べるのより、その背景をどこまでも大きくとらえて判断するほうが、双方にとって、そして我々にとってよりよい選択となるだろう。
全体にとってのより良い選択を可能にするもの、それこそが真の倫理というものではないだろうか。
私は、この『エチカ』という著作は、そうした「倫理」の在り方を根本的に問い直し、新たに構築すべく生まれた書物であると結論付けたいと思う。